太陽の竜と闇の青年

しかし、俺が恐れているのはアッチだ。


イコをみると、イコの頬にはタエラ=ジーナの血がついていた。


「ジー……ナ……さま?」


イコが呆然としてタエラ=ジーナに近づいた。


「ど、うしたの?ねぇ、この、心臓に刺さっているのは、なぁに?」


フィンドがゆっくりと俺に近づいてきた。


だんだんと目の色が銀色に戻ってくるのがわかった。


だが、今戻れば……少しヤバイんじゃ……。


「ジーナ様ぁぁぁああああああああ!!!!!!」


イコは天に向かって叫んだ。


ジャリスが突然あははは!と笑いだした。


まさか!!!


「そうです!もっと憎しむのです!!!そして復讐をしてやるのです!!!!」


ジャリスはこれも計算していたのか!!


俺はガッとジャリスの首を掴んだ。


「貴様!!!!」


しかし、ジャリスはそれでも楽しそうに笑っていた。


「あははは!!ははは!!!!あぁ、愉快です。あの悲痛な叫び。とても気持ちがいい!!!」


変人だ……コイツ……。


そのとき、ビュンッと俺の目の前を短剣が通り過ぎた。


当たっていたら完璧に死んでいただろう。


俺が恐る恐る飛んできたほうをみると、そこには怒りに我を忘れたイコがいた。


「ジーナ様、死んじゃった……。ジーナ様、殺したのだぁれ?ジーナ様、返してぇ?」


俺が声をかけようとしたとき、フッと手元からジャリスの気配が消えるのが分かった。


「その子の未知なる力を存分に楽しませてくれよう?さぁどうするのですか?ドラゴン=ルウ!!!!!!」


俺がハッとして我が主をみると、ルウは真面目な面もちでジャリスをみていた。


その目には怒りも悲しみも何もなかった。


そう。


俺の知らない我が主の感情だ。


我が主はジャリスから目を離すと、俺を真正面から見つめた。


「今から壱たちを呼んできてくれないかな?ここは私一人でいいから」


「ですが……!!」


「イコは大丈夫。私が止めるから」


「……」


「それが私が今できることだから」


俺は我が主の言うとおり、動物の姿へとかわった。


我が主は俺の頭を撫でた。


その優しさが、無性に悲しかった。


「白虎。皆をよろしくね。貴方なら、絶対に皆を守れる。それから……私を忘れないっていった言葉、信じるから」


まるで遺言を聞くようだった。


だが、我が主の命令は絶対。


逆らうことなど、俺にはできなかった。