太陽の竜と闇の青年

リドゥーが目を細めて私を見る。


「どういうこと?」


「昔の私だったらリドゥーについていったかもしれないけど、今は壱がいる」


そうキッパリと言った後、しばらく沈黙が続いた。


「ルウちゃんと出会ってさ、ルウちゃんたちの話を聞いてさ、俺ちょっとショック受けたんだよね」


首を傾げた私にリドゥーが微笑んだ。


「自分が恨む王族に何でなるんだよってそう思ってた。つっても、俺がただ単に王族が嫌いってだけかもしれないけどね。ねぇ俺がどれほど王族が嫌いか分かる?」


黒光りした目が恐ろしくて私は思わず顔を歪めた。


それでもリドゥーはその目をやめることはしなかった。


「俺もね、生き残りなんだ。[導きの民]の」


ドクンと心臓が高鳴った。


リドゥーも私たちと同じ生き残り……?


「俺の能力は導くことだろ?その能力っていうのはさ、竜の民と同じくらい重要視されててさ、竜の民が100年前に滅ぼされたけど、その生き残りだつってさ、俺ら民族皆殺しにされたわけ。で、俺だけが生き残って導きの能力を隠して生きてきた。けどね、故郷を失った辛さは忘れないんだよ」


何か遠い場所を見つめるように私をみたリドゥーの薄い唇が淡々と動く。


「平原は荒れ果てて砂漠化となり、海原は大地を呑みこんだ。災厄の根が幾重にも絡み合う。俺らが愛した楽園は戦場へと変貌した。俺の産まれた故郷はとても美しいところで、平原は草花を美しく咲かせ、海原はおとなしく深青色だった。けれど、あっという間に戦場に変わった。突然侵略してきた王族たちによって。その地に王族は城をたてた。けど、それは屍を積み上げて土台が築かれた醜く儚い現実の瓦礫の城だ。亡骸の頂きに平和が咲き誇ると思うか?いつでも狂気が降り注ぐ。俺は王族の侍従から逃げた」


初めて聞いたリドゥーの昔話に涙がでた。


何故だか分からない。


だけど、心が締め付けられたようで上手に呼吸ができなくて、喉がぎゅぅ、となるようだった。


「俺は君たちと一緒なんだよ。それでも俺を恐れるの?」


そう言った時のリドゥーの顔が途端に幼くなり、悲しそうに歪められた。


「また俺から離れていくの?俺を独りにするの?」


その言葉は幼い頃私たちが呟いていた言葉だった。