太陽の竜と闇の青年

「俺はルウの婚約者だ。ルウを返せ」


またアナザーが笑った。


「ルウちゃんの婚約者?ルウちゃんを返せ?馬鹿言うな。あんたさっき誰とキスした?ルウちゃんじゃない。信濃っつー女だろ?俺はルウちゃんを心の底から愛してる。竜の民だからとか、そんなの関係ない。ルウちゃんは笑うことさえ忘れていた俺に魔法かけて、笑顔一つで俺のすべてを変えたんだ。きっとそれはあんたもそうだろうけど、あんたには信濃がいるじゃないか。俺みたいな混ざり者で異能力者にはルウちゃんしかいないんだ。だからあんたにはルウちゃんを諦めてもらう。俺だったらルウちゃんだって竜の民の神だのなんだのって縛られることは決してない。俺は絶対に言い切れる。例えルウちゃん以外の女が俺に近づいてきても、俺はあんたみたいに立ち尽くすこともしないし、キスさせられることもしない。一直線にルウちゃんの元に走っていく。あんたはどうなんだ?本当にルウちゃんがいいの?そうやって女にキスされて、呆然と立ちすくんで、いつまでたってもルウちゃんを迎えに行かない。あんた、本当にルウちゃんを愛してるの?」


俺は唾を飲み込んだ。


喉は乾いていないのになぜか乾いたように思える。


ようやくでた声はとても掠れていて弱々しかった。


「俺は確かにルウが好きだ。それは断言できる。ただ動けないんだ。そしたらいつのまにかこんなことになっていた」


アナザーの目が細く細く眇められた。


「そ。何で動けないの?言い訳はやめてさ、きちんと説明してくれない?」


俺はもう一度生唾を飲み込んだ。


「ルウのことを一瞬でも怖かった、そう思ってしまった自分がルウのことを助けにいってもいいのだろうか?そう考えていた。俺を睨んだルウは今まで会ってきた奴らの中で一番恐ろしかった。竜になった時のルウよりも恐ろしかった」



何故かコイツには言い返すことができなかった。