太陽の竜と闇の青年

くしゅん、とくしゃみをした俺は目の前に座っている信濃に目を移した。


上品に座っている姿は確かに美しい。


「なぁ、信濃。本当に行かせてくれよ……」


「いやです!」


ぐずぐずと鼻をすすりあげながら決して俺の袖から手を離さなかった。


ほんっとどうすればいいんだよ……。


昔の俺なら邪険に払っていたかもしれない。


けれど、今は想う気持ちというのを知ってしまっているからそうすることも出来なかった。


牙城がいればどうにかすることができたが、あいにく牙城は失神状態に近い。


よっぽど痛かったんだろう。


「信濃。おまえの気持ちはわかった。だけど、俺はルウのほうが大切なんだよ……」


わかってくれ信濃。


それでも信濃は俺から離れなかった。


結局、このまま信濃を放っておくこともできず、俺は中途半端なままルウと信濃の間をウロついていた。


ルウのことは心配であるが、信濃を放っておくこともできない。


ルウのつぶやいたリドゥーというのにもひっかかっていた。


男の名前か、女の名前か……。


これだから他国の奴らの名前はややこしい。


「嫌です!またあなたはあたしから離れていくんですか?あたしはあなたをもう恐ろしいなど、そのように想うことはしませんよ?」


ドクンと心臓がなった。