太陽の竜と闇の青年

「ふざけるなよ。僕はあんたなんか認めてないから」


「あらそう。だけど壱はあたしを認めてくれていたわ」


牙城が鼻で笑った。


「それは親たちの関係上反抗はしたくなかったからだよ。そんなことも分からないくらい壱にぞっこんなわけ?」


女の人が牙城を睨んだ。


「あなた、本当にあたしが嫌いなのね。でも大丈夫。あたしはあなたが好きよ。だって壱にそっくりなんだもの」


牙城が手で女の人をあしらうようにして言った。


「それはどうも。だけど残念。僕は壱じゃないし、君がタイプなわけでもない。それに、壱はルウちゃんにぞっこん中なんだ。二人の仲を裂くっていうんだったら、いくらあんたでも許しはできないよ」


すると、女の人が私を見下ろした。


「あたしは信濃雪那。あんた、名前は?」


「えっと……ウィン=ルウです」


「ウィン……。風国ね。あそこの国も落ちたね。こんな小汚い人間とは別の生き物を王女にするなんて」


小汚い人間とは別の生き物―――?


牙城が信濃さんの首を絞めた。


「お前、調子に乗るなよ。僕の権限でお前の首を今すぐに跳ねることも出来るんだぞ」


信濃さんの顔が歪んだ。


「あんたもだよ。そんな竜の民を庇って、何が楽しいんだい。かつて和国にだって竜の民は大きな危害を加えた。それからというもの今だって竜の民を恐れている住民はいるんだよ。もう絶滅したと言われているけど、伝説として残っている話は恐ろしくてたまに女人たちの間で話題になることもあるくらいだからね」


私は目の前が真っ暗になっていく感じを覚えた。


首を絞められながらも信濃さんは言葉を紡ぎ、私の最も脆い部分に突き刺してくる。


「竜の民なんて所詮、不気味で気持ち悪くて、人間から最も愛されることのない人間からはみ出た民族よ!」


自分の意志か、はたまた…………。


耳の遠い部分で、信濃さんの悲鳴が聞こえた気がした。