太陽の竜と闇の青年

[壱]


俺とシェイが城の門前まで来ると、ようやくシェイのほうから話しかけてきた。


「和国はいいところだな」


「あぁ」


「今回の火床が終わったら、また来たい」


「いつでも来るといい。ルウもあんたに会いたいだろうからな」


「怖がられていなかったかな?」


「多少は怖かっただろうが、あんたは兄だ」


「……そうだな」


「あぁ」


「またここに来るよ。次はユーユルをルウに会わせたいな」


「ルウも喜ぶだろうな」


一呼吸置いてシェイがゆっくりといった。


「ルウの錘をのけてやってくれ」


俺は深くうなずいた。


ルウの心の奥底にある錘を俺が除いてあげたい。


ずっとそう思ってきた。


「彼女の錘は君たちが思っている以上に重い。だから除くことは不可能に近いのかもしれない。僕たちは竜の民の神じゃないからね」


口調がだんだんと元に戻ってきていた。


「それでも軽くすることはできる。僕もルウとフウには全力で相手をしていた。二人が何に悩み、何を欲しているのかを知りたくて。だけど、知った事実は決して僕らにとって楽なものじゃなかった。人殺しにでっち上げられ、命を狙われ、二人だけで孤独に生きてきた事実。それは僕が予想していたものよりも遙かに残酷だった。君はルウの夫だ。それなりの覚悟はしていると思うけど一つ、忠告しておく」


俺は拳を握りしめた。


「ルウの不安をかき乱すな。絶対にだ。一度ルウが本性を表した後、ルウたちをかき乱すと……とんでもないことが起きるぞ」


俺は生唾を飲み込んだ。


それが合図だったかのようにシェイが俺から背を向けて元きた道を戻っていった。


しばらく、俺はその場に突っ立ていることしかできなかった。


ようやく足が動いたのは、シェイが去って、貿易船の出航の音がして、少したったころに久しぶりにきいたアイツの声が城の中から聞こえたときだった。