タラバンが中盤に入った途端、私の周りに大きな砂嵐が起こった。


正直、リクたちが一番気になったけど、ここで諦めるわけにはいかなかった。


それに、なぜか自分が座っているところには砂嵐が起きていないのだ。


そして、タラバンを吹き終わると、私は大きな声でなにも見えないところに向かって叫んだ。


「朱雀!!!!!!!」


しかし、なにも反応がない。


ただ、砂嵐が舞起こるだけだった。


すごく、焦った。


「……どうしよ……」


他に何て言う必要があるんだろう。


それから、ずっと考えていると、いきなり砂嵐が晴れた。


「うぇ!?」


私が愕然としていると、目の前に綺麗な女性が現れた。


見ただけで分かる。


背中に赤色の羽をつけたその女性は、


「朱雀……」


朱雀は優しくほほえんだ。


ファジが言っていたとおりの女性だった。


「あなたのタラバン、素敵でした。まさか、あたしが甦るなど考えつかなかったことです。あたしは、あなたとの絆を求めています。あなたは、あたしを裏切るようなことはしませんよね?」


私は、深く頷いてニッコリと明るく笑って見せた。


「もちろん!ファジのようにあなたたちを愛してみせる!ファジの意志は私が受け継いだからね」


すると、朱雀が私の頬に触れながら言った。


「あなたは本当にファジにそっくりですね。いいえ、どちらかと言うとジャリスかしら」


私はジャリスと言う言葉を聞いて、耳をピクリと動かした。


「ジャリスに会ったことがあるの!?」


すると、朱雀が柔らかく微笑んだ。


「えぇ。ジャリスが一番初めにあたしを見つけてくれたのです。そのときのジャリスには大切な人がいたと言っていました。それが、ファジです」