「壱たちはまだかな?」
壱とシェイ兄上が城から出ていって結構時間が経った。
私と牙城は二人の帰りを待って一緒にお茶をしていた。
「ん~。まだだろうね」
牙城が暢気に言ったけど、私は少し心配になってきた。
キョロキョロしている私に気がついたのか、牙城がクスリと笑った。
「そんなに気になるの?」
「え、うん」
牙城はお茶を啜りながら言った。
「何で気になるの?」
「何でって……だって、壱は……」
「壱は殺されたりしないよ?」
「そうだけど……」
「ルウちゃんはさ、壱のどういうところが好きなの?」
牙城の細められた目が私に何を言いたいのかが分からなかった。
だけど、私は牙城をまっすぐ睨むようにして言った。
「壱はすっごくいい人だ。確かに不器用なところもあるけど、私が竜の民だっていっても驚かなかった。竜の民だから何だ、そんな感じの目でみられた。だから、私は壱ならいいかもしれないって思ったんだ。私の白銀の髪をみて驚かなかったただ一人の人。壱のおかげで助かったこと何百回とある。私が倒れたときだって、何ヶ月も一緒にいてくれた。私にとって壱は特別な存在なの。壱じゃないといけない。絶対に」
牙城がふーとため息をついて体勢を崩した。
「ルウちゃんも壱もさ、同じこと言ってさ……。ほんと相思相愛なんだね」
その時、パァーン!と派手な音がして障子が開かれた。
私と牙城は文字通り飛び跳ねて後ろを振り返った。
そこには……。
長い黒髪を丁寧にそろえた美しい顔をした女人が立っていた。

