「火床って知ってるか?」
「いや、知らない」
「火が燃え盛っている部屋だよ。俺はそこに放り込まれた。いや、違う。自分から入っていた、というのが正しいか……」
俺が眉をひそめると、シェイがフッと鼻で笑った。
「駕国。俺はそこに貿易の用があって行ったんだ。そこで出会った子がいた。名前はユーユル。まだ幼い七歳かそこらの少女だ。正直、俺にはどうでもいい赤の他人だ。だけど似てたんだ。……ルウに。眩しいくらい明るい子で、だけどのその裏には闇が広がっていた。ユーユルには親がいなかった。殺された。何で殺されたか結局わからないままだったが、そんなユーユルを俺は見捨てられなかった。一緒に旅につれていこうと思った。それからは時間のある限りユーユルのいる修道院に行ってユーユルと遊んだり、話したりしていた。だけど、ある日修道院に行くと、ユーユルは養女に出したと言われた。どこに出したのか問いだしたら、セント家と聞いた。セント家って知ってるか?」
俺は頭の中の記憶を全部掘り起こすようにして考えた。
「火遣いで不思議な魔術を持っているとか……」
シェイの顔の火傷の筋がピクピクと痙攣した。
「ただの和国の王子ってわけじゃなかったな。そのセント家っつーとこに養女に送られたユーユルは、魔術を引き継ぐものとしてほとんど虐待に近いぐらいのことをされたんだ。魔術を片っ端から覚えていったり、魔法陣を書けるようにしたり……。火床に入れられたり、な」
俺が驚いてシェイを凝視すると、シェイが鼻で笑った。
「俺がセント家に強引に入り込んだ時、ユーユルはもうすでに火床に入れられていたんだよ。セント家の主、セント=ディオ。俺はこいつだけは許さない。ディオはユーユルを養女に迎え入れた後、ユーユルを火床に放り込んだ。しかも、俺が聞いた話ではユーユルは三日間ずっと火床に入れられていたらしい。ユーユルはそれこそ三日間泣き喚いていたが、ディオはなにもしなかった。そして四日目、ユーユルは心を食われた。心を食われたことによって、ユーユルの容姿は著しく変わった。……昔の明るいユーユルはディオのせいで消えてしまった。ユーユルは昔よりも感情を表さなくなった。そんなユーユルをまだディオは火床に放り込もうとしていたんだ。だから俺が代わりに入った。一週間、火床につっこまれていた。あれは地獄だった。ユーユルを助けるためだったけど……結局ユーユルの心は食われたままで、俺の体もこの様だ。ユーユルの体は火傷にならなかった。それは魔力が強かったからだ。だけど、俺はなった。俺はユーユルみたいに強くはなかった。火に対して弱かったんだ。だけど、おかげで火遣いになったよ。それだけが俺を支えることだな。まぁなんの役にもたたねぇが」
そう言い終わると同時に、またシェイが血を吐いた。
それからゆっくりと俺を見上げた。
「いや、知らない」
「火が燃え盛っている部屋だよ。俺はそこに放り込まれた。いや、違う。自分から入っていた、というのが正しいか……」
俺が眉をひそめると、シェイがフッと鼻で笑った。
「駕国。俺はそこに貿易の用があって行ったんだ。そこで出会った子がいた。名前はユーユル。まだ幼い七歳かそこらの少女だ。正直、俺にはどうでもいい赤の他人だ。だけど似てたんだ。……ルウに。眩しいくらい明るい子で、だけどのその裏には闇が広がっていた。ユーユルには親がいなかった。殺された。何で殺されたか結局わからないままだったが、そんなユーユルを俺は見捨てられなかった。一緒に旅につれていこうと思った。それからは時間のある限りユーユルのいる修道院に行ってユーユルと遊んだり、話したりしていた。だけど、ある日修道院に行くと、ユーユルは養女に出したと言われた。どこに出したのか問いだしたら、セント家と聞いた。セント家って知ってるか?」
俺は頭の中の記憶を全部掘り起こすようにして考えた。
「火遣いで不思議な魔術を持っているとか……」
シェイの顔の火傷の筋がピクピクと痙攣した。
「ただの和国の王子ってわけじゃなかったな。そのセント家っつーとこに養女に送られたユーユルは、魔術を引き継ぐものとしてほとんど虐待に近いぐらいのことをされたんだ。魔術を片っ端から覚えていったり、魔法陣を書けるようにしたり……。火床に入れられたり、な」
俺が驚いてシェイを凝視すると、シェイが鼻で笑った。
「俺がセント家に強引に入り込んだ時、ユーユルはもうすでに火床に入れられていたんだよ。セント家の主、セント=ディオ。俺はこいつだけは許さない。ディオはユーユルを養女に迎え入れた後、ユーユルを火床に放り込んだ。しかも、俺が聞いた話ではユーユルは三日間ずっと火床に入れられていたらしい。ユーユルはそれこそ三日間泣き喚いていたが、ディオはなにもしなかった。そして四日目、ユーユルは心を食われた。心を食われたことによって、ユーユルの容姿は著しく変わった。……昔の明るいユーユルはディオのせいで消えてしまった。ユーユルは昔よりも感情を表さなくなった。そんなユーユルをまだディオは火床に放り込もうとしていたんだ。だから俺が代わりに入った。一週間、火床につっこまれていた。あれは地獄だった。ユーユルを助けるためだったけど……結局ユーユルの心は食われたままで、俺の体もこの様だ。ユーユルの体は火傷にならなかった。それは魔力が強かったからだ。だけど、俺はなった。俺はユーユルみたいに強くはなかった。火に対して弱かったんだ。だけど、おかげで火遣いになったよ。それだけが俺を支えることだな。まぁなんの役にもたたねぇが」
そう言い終わると同時に、またシェイが血を吐いた。
それからゆっくりと俺を見上げた。

