太陽の竜と闇の青年

少し、砂埃が起ってきたとき私はターバンを頭につけた。


「やはり、ターバンがないほうがルウは綺麗だぞ」


私は微笑しながら言った。


「仕方ないよ。砂漠だし」


リクは渋面を浮かべながらもガイヤ砂漠を眺めていた。


ブルルルッと馬が首を震わせたときには、外は何もない殺風景な景色に変わっていた。


「ここが、ガイヤ砂漠かぁ」


独り言でつぶやいた。


それから、馬車から降りたとき、目に砂が入らないようにターバンで顔も隠した。


「とりあえず、砂漠の中央まで歩かないと……」


私たちは、誰もしゃべらずに黙々と歩き続けた。


そして、砂埃がたたない唯一、オアシスと呼べるほど綺麗な草木が育っているところで立ち止まった。


「ここが、砂漠の中心……」


サクラが呟いた。


私はその近くにあった大きな岩に軽く飛び乗った。


「誰も来ないでね」


私が5人にそう言うと、5人は小さく頷いた。


そして、翡翠をギュッと握った。


朱雀。私はあなたたちをファジの変わりに愛してあげる。


どれだけ運命を変えてしまう歯車でも、一生手放すことはない。


だから、こんな汚い世界を変えて。


そう願い、笛を手にとり、小さく息を吸い込んだ。