太陽の竜と闇の青年

「何処に逃げるというのだ?そんな醜い姿をしていながらも。貴様らの逃げる場所などないのだ。竜の民の神の掟を忘れるな。人に心を許すな。何もないのだ。もう貴様らには希望など残されていないのだ。貴様らは運命に弄ばれるだけの存在。そう。ただの人形なのだ」


「「ほざけ!!!!」」


竜吠えのような声が重なった。


それは普段の二人の声ではない。


食いしばった歯から漏れるように、それでも力強く反抗するような声だった。


「「運命は残酷だ。されどそれを恐れてはいけない。神を恐れる者に神は微笑むことなど決してないのだから」」


「神は最後に[死すべき者]即ち、人間を創った。竜の民はそれらから外された孤独な民族である」


「「神が舞い降りた地は人間の地だ。神は人間を殺し、人間は神が定めた運命に抗う者と受け入れる者に別れた」」


「貴様らは天空を、大地を、海原を、人間を、己が運命を愛し、哀しみさえも糧に出来るというのか」


「「余裕である」」


「神とは何であろう」


「「老婆でも少女でも何でもない。万物の母たる創造主。運命の女神。未だその姿を見た者はいない」」


「世界とは何であろう」


「「自分の生きる場所である!!」」


二人が光に向かって吠えた。


その瞬間、周りが炎に包まれた。


それなのに体は熱くない。


けれど、周りは泣き叫ぶものや、逃げまどうもの、争う者であふれていた。


誰かが叫んだ。


「ここを神の地と知っているのですかか!無礼は許しませぬ!!」


そこには死体の山を登る双子の姿。


まだ幼い二人は必死に逃げていた。


とても必死に。


生き延びようとするかのように。


「二度と還らざる淡き少年の日々」


「やがて振り返る淡き少女の日々」


ハッと振り返ると、そこには誰もいなかった。


けれど、ウィンとフウの声はする。


何かに怯えるかのように。


何かから逃げるかのように。