太陽の竜と闇の青年

「無理だ。俺には……ルウを助けることはできない。だって、俺にルウを助ける資格など……ない……」


「風の音を聞きなさい。目を閉じて、耳をすませてごらんなさい。……聞こてくるでしょう。あなたを呼ぶルウの叫びが」


頭の中に聞こえた。


確かに聞こえた。


ルウの叫びが。


”助けて……壱!!!”


「あの子はあなたを必要としています。たった一人の愛した人なんですから。いいですか。男なら誰かのために強くなりなさい。歯を食いしばって思い切り守り抜きなさい。転んでもです。また立ち上がればいいんですから。ただそれだけできればいいんです」


ふいに涙がでた。


なぜだかわからない。


「え……?」


俺は少しあわてた。


なぜだか悲しくて、つらくて、苦しかった。


ウイの顔が悲しそうに、けれど笑ったように歪められた。


「あぁ……。そっか。これは私の涙ですね」


フワッと花の匂いがして俺はウイに抱きしめられた。


涙がもっと溢れた。


「……私自身はいつの間にか涙の出し方を忘れていましたが……こうするんでしたね。ありがとう。私はあの子たちを側で見守ることはできません。亡くなった身ですから。ねぇ空風さん。人と竜との違いって何なんでしょうね」


俺の頬にポトリと雫がおちた。


それは俺の涙と共に地に落ちた。


その瞬間、地面が揺れた。


「なっ!!!!」


「あぁ……。もう一度あなたは目を覚まさなければいけないようです」


ウイが離れた瞬間、俺の座っていた場所が崩れた。


俺は落ちていく。


どこかに……。


だんだんとウイの姿が小さくなる。


けれどウイは笑って俺に告げた。


「泣いてくれてありがとうございます。あの子を助けてあげてください。世界で一番愛しい私の子。あの子はいずれ自分から泣いてくれるでしょう。その時は共に泣いてあげてください。あと、あの子に言ってください。私は死んでしまったけれど、あなたたちのことは忘れていないって。まだ愛していると。そう伝えてください」


落ちていく俺の体。


だけど、俺の心の中にはしっかりと決心がついた。


「それから」


ウイさんが笑顔で俺に手を振ってきた。


「あの子がもし暴走したときはこう言ってください」


一呼吸おいてウイが今まで一番の笑顔をみせた。


「ガーディス。これが私の名付けた本当のルウの名」


ガーディス……。


それがどういう意味かわからないが、なぜか神々しく思えた。