ウイが目をあけた。
そしてまたヒドラについて語り始めた。
「彼も不幸せな人でした。彼には家族も友達もいました。けれど、皆殺されたんです。父親は違っていたけど、父親も殺された同然でした。彼の父親は海賊王で、ヒドラはその息子として「鬼の子」と呼ばれていました。イジメられたりもしていました。暴力だってふられて、最終的には海賊王の家族とならばそれも危険。ヒドラの家族とヒドラと仲良くした唯一の友達も危険人物にさらされました。ヒドラは母親に逃がしてもらって生き残っていたけれど、人間は皆、彼を恐れていた……。彼は白銀色の髪が混ざっているんですから。竜の民と人間との間でハーフとして産まれた彼はこうして置いてけぼりにされました。だけど私にとっては幸せなことだったのかもしれません」
そんな悲しい話がなぜ幸せだというのだろうか?
またまたウイに疑問が浮かび、俺は思わず眉をひそめてしまった。
ウイもまたまたそれに気がついて教えてくれた。
「人間が彼を置いていかなかったら、私は彼に出会うことはなかったんですよ?もしかしたら、私の夫がヒドラじゃなかったのかもしれません。これは奇跡なんです。絶対。だから私にとっては幸せだったんですよ。私がそういうとヒドラはいつも小さく笑って私のおでこを小さく叩くんです。そんな小さなことが私にとっては大きな大きな幸せだったんです。……竜の民の神は外にでることを禁止して、毎日毎日参拝にいらっしゃる人たちの話を聞くだけで、とてもつまらない日々だったんですから。だから、ヒドラといるときが一番の幸福の時間だったんです。……あなたの幸福の時間はいつですか?」
俺は即答した。
「ルウと一緒にいる時間」
ウイがまぁ!と口を押さえた。
「そんなすぐに返事を聞けるとは思えませんでした。お茶を飲んでいる時間だとか、そのへんかと思っていましたけど、当たり前ですよね。好きな人と一緒にいる時間が一番いいですよね」
俺はうなずいた。
「ルウは……優しいから。俺は甘えてしまうんだ。ルウに会う前、俺はずっと思っていた。誰が俺に愛をくれて俺は誰を愛せばいいのか。誰が俺を必要として俺は誰が必要なのか。誰か俺を信じてほしい、俺はずっと孤独なのかって。ルウはいつでも俺に愛をくれた。必要としてくれた。勇気をくれた。信じてくれた。だから、俺もルウに愛をあげ、必要とし、勇気をあげ、信じた。だけど……」
「竜の民と神の民との境界。それがあなたたち二人の溝、でしょう」
ウイが俺の言葉を制し、そう強く言った。
俺とウイの間にわずかな風が吹く。
そんなわずかな風でも細いウイの髪はなびいた。
そしてまたヒドラについて語り始めた。
「彼も不幸せな人でした。彼には家族も友達もいました。けれど、皆殺されたんです。父親は違っていたけど、父親も殺された同然でした。彼の父親は海賊王で、ヒドラはその息子として「鬼の子」と呼ばれていました。イジメられたりもしていました。暴力だってふられて、最終的には海賊王の家族とならばそれも危険。ヒドラの家族とヒドラと仲良くした唯一の友達も危険人物にさらされました。ヒドラは母親に逃がしてもらって生き残っていたけれど、人間は皆、彼を恐れていた……。彼は白銀色の髪が混ざっているんですから。竜の民と人間との間でハーフとして産まれた彼はこうして置いてけぼりにされました。だけど私にとっては幸せなことだったのかもしれません」
そんな悲しい話がなぜ幸せだというのだろうか?
またまたウイに疑問が浮かび、俺は思わず眉をひそめてしまった。
ウイもまたまたそれに気がついて教えてくれた。
「人間が彼を置いていかなかったら、私は彼に出会うことはなかったんですよ?もしかしたら、私の夫がヒドラじゃなかったのかもしれません。これは奇跡なんです。絶対。だから私にとっては幸せだったんですよ。私がそういうとヒドラはいつも小さく笑って私のおでこを小さく叩くんです。そんな小さなことが私にとっては大きな大きな幸せだったんです。……竜の民の神は外にでることを禁止して、毎日毎日参拝にいらっしゃる人たちの話を聞くだけで、とてもつまらない日々だったんですから。だから、ヒドラといるときが一番の幸福の時間だったんです。……あなたの幸福の時間はいつですか?」
俺は即答した。
「ルウと一緒にいる時間」
ウイがまぁ!と口を押さえた。
「そんなすぐに返事を聞けるとは思えませんでした。お茶を飲んでいる時間だとか、そのへんかと思っていましたけど、当たり前ですよね。好きな人と一緒にいる時間が一番いいですよね」
俺はうなずいた。
「ルウは……優しいから。俺は甘えてしまうんだ。ルウに会う前、俺はずっと思っていた。誰が俺に愛をくれて俺は誰を愛せばいいのか。誰が俺を必要として俺は誰が必要なのか。誰か俺を信じてほしい、俺はずっと孤独なのかって。ルウはいつでも俺に愛をくれた。必要としてくれた。勇気をくれた。信じてくれた。だから、俺もルウに愛をあげ、必要とし、勇気をあげ、信じた。だけど……」
「竜の民と神の民との境界。それがあなたたち二人の溝、でしょう」
ウイが俺の言葉を制し、そう強く言った。
俺とウイの間にわずかな風が吹く。
そんなわずかな風でも細いウイの髪はなびいた。

