太陽の竜と闇の青年

ボロボロの服をきて、棒きれのような体をした少女は憎しみのオーラを放っていた。


その姿が私たちと被った。


その瞬間、腹の底から何かが押し寄せてくる感覚に襲われた。


私はギリギリ大丈夫だったけれど、フウは遅かったみたいだ。


すぐそばにあった桶を掴み、吐いた。


「……うぅ……、おぇ……」


その声を聞いたのか、慌ててクラウドが入ってきた。


「フウ!!大丈夫か?」


フウはクラウドに手をかしてもらいながら、よろよろと立ち上がった。


クラウドは次に私をみた。


「ルウも……尋常じゃないぐらい顔が真っ青だ。一度外にでよう」


その言葉には有無をいわせない力強さがあった。


私たちはテントからでた。


私に肩をかしてくれたのはシルバだった。


「ティファナ。二人に水をもってこい。普通の水ではなく清水だ」


ティファナはシルバの言葉に慌ててうなずき、水場まで走っていった。


私とフウは影のある風通しの良い場所につれていかれた。


「大丈夫か」


シルバがティファナからもらった水を私に渡してきた。


私はそれを笑いながら受け取り、一気に飲み干した。


水を飲んで少し落ち着いたのか、フウがポツリポツリと呟いた。


空を見上げながら。


……そういえば、昔からフウは空が好きだったなぁ。


「僕はもう平気だと思ってたんだ……。あぁいう子をみても、もう自分たちに重ねなくてもいいとか、あぁいう子をみても、もう、恐怖心なんて絶対にないと思ってたんだ……。でも、今日改めて分かったよ。僕は……まだ弱い!!!」


フウはギュッと唇を噛みしめ、俯き拳を握った。


久しぶりにみるフウの悔しそうな、泣きそうな顔に私は何もいえなかった。


「バッカじゃねぇの」


その言葉に驚いて顔をあげると、クラウドがあんぐりとした顔をしていた。


っていうことは、クラウドが言ったんじゃなくて……。


その瞬間、ビュンッと私の目の前をばかでかい剣が横切った。


その剣の切っ先にはフウの顔があった。


「んなの当たり前だろ。誰がいつお前が強いっつった。お前自身が自分のこと強いって思ってんだろ?そうやって自分を強くみせることで恐怖から逃げてたんだろ?んなの誰からみたって強くない。自分自身が強いって思ってんのはただの自己満足にすぎない。自分はウィン弟に出会った時から、ウィン弟のことを弱いと思っていた。それは誰に対してもだ。ウィンだって、空風だって、フリスだって、自分だって弱いと思っている。いいか、ウィン弟。勘違いしているらしいから教えてやるが、この世で強いものなど一つもない」


私がシルバを見上げると、シルバは小さく笑った。


「自分もウィンも、ウィン弟もまだまだ未熟なんだよ」


何故かその顔に壱を重ねてしまい、少しだけドキッとしてしまった。