太陽の竜と闇の青年

[壱]


ルウが出ていったあと、暴風と暴雨が激しく降り注いだ。


外に出たくても出れなかった。


ドアが風で開かなかったからだ。


テルはその場に泣き崩れ、マランは深いため息をつき、俺は俺で何もできずにその場に立ち尽くしていた。


「……朱鷺」


マランが朱鷺の名前を呼んだ。


朱鷺は首を傾げながらもマランに近づいた。


「お前、人間なんだって」


「……」


「竜の民じゃないんだってよ」


「……」


「幸せに生きていたか?」


「……うー」


「幸せだったか……。幸せ、か……。あの二人には確かに辛い言葉で、わからないことかもしれないな……」


「うー?」


「辛い事しか経験してねぇし、そう簡単に人間を信じることは出来ねぇだろうな……。ずっと裏切られてきて生きていたからな。ずっと痛めつけられてきたからな。それでも俺はアイツ等なら残ってくれると思っていたんだよ。けど俺が思っている以上にアイツ等の心ん中は人間に騙されたことでいじくり回され、傷ついていたんだな……」


「……」


「その事に気づいていない俺は本当に馬鹿だよな」


「私も……私もフウ君は残ってくれると思っていました。フウ君は優しくて、絶対に私を置いていったりしないって思っていました。だけど……フウ君は今までにあの言葉ですごく傷ついていたんですね。そんなことに気がつかず、私も馬鹿です。すっごく馬鹿です」


二人は息を吸い込んだ。


「……別れるなんて……もう二人に会えないなんて絶対に嫌です……。フウ君……戻ってきてくださいよ……」


それでもフウは戻ってくることはないだろう。


もしかしたら永遠に別れるのかもしれない。


そんなの……


「俺だって嫌に決まってるだろ!!!」


ようやくルウを手に入れた。


俺のものにした。


なのにこうも簡単に別れるなんてありえない。


永遠なんて考えられねぇ。


竜がなんだ、竜の民がなんだ。


そんなの関係ねぇ。


ルウはルウだ。


「俺はルウを見つけに行く」


その言葉に二人は俺を凝視した。