太陽の竜と闇の青年

「待て!!!!」


今度は……壱だった。


「本当に、いなくなるのか?」


悲しそうに歪められた顔は私の心を傷つけた。


「うん。もう私は壱よりも……竜の民としての掟をとる」


壱は小さくため息をついた。


それから顔をあげた顔は、今までにないぐらい歪められていた。


「フウ君!!!!」


テルが叫んだ。


「あの……フウ君は本当にいいんですか?私は嫌です!!フウ君が竜でもいいんです!!フウ君が竜の民だから何だというのですか!私は……ずっとずっとフウ君を待っていました。フウ君が怖いだなんて思えません。フウ君、行かないでください。ようやく、フウ君と……一緒に過ごせると思えたのに……。私を捨てないでください……」


その瞬間、フウがテルの首を掴んだ。


テルが驚いた顔でフウをみる。


普段のフウはどんな女性にも首を掴むことは決してなかった。


だけど今は竜だ。


フウの手は竜のようなものに変わってきている。


「悪いけど……そんなキレイゴト聞きあきてるんだよね。聞きあきてるほど聞いているんだよ。そうやって言っておきながら俺らは売られたりしたんだよ。今だって手足につけられた鎖の音が耳に聞こえる。ここはアソコの島に似ているからかもしれないけど、雰囲気が似ているから鎖の音が消えない。もう、俺は人間を信じれないんだよ。そうやって簡単に俺らの心に付け込もうとすんなよ。逆にウザいしキモい。優しい言葉でもかければなんとかなると思った?残念だけど、今の俺はおまえなんかに興味ないし。ま、ふつうの俺があんたのことどう思ってたかはしらねぇけどな。だけど、あんたがそのキレイゴトを言った時点で答えはノーだ。俺はあんたに会わない。ここに残らない。あんたらとは過ごさない」


私もうなずいた。


フウが私を押し退けるようにして外にでた。


その瞬間、スコールが降り始めた。


「……フウが竜になったら雨が降る。私が竜になったら風が吹く。白銀竜は昔から呪いのかかった竜だと言われてきた。100年に一度、その銀竜が産まれる。それが私たち。竜になった私たちは理性を失い、この世界を壊してしまうこともある。だから、ここから消えることが一番いい考えだと思っている。[人間]の私たちは本当に人間を好きだった。まぁ……多少例外はあるけどね。でも、竜の私たちは[人間]が大嫌いだ。三人は本当にいい人だけど、人間だ。竜の私たちには人間を信じる心はなくなった。三人も信じられない。だからもう……縁を切る。…………竜の姿なんてただ醜いだけだから」


私はそう言って外に出てドアを閉めた。


「……本当に……ありがとう」