太陽の竜と闇の青年

「……フウ。も……いいから……」


「何がいいんだよ」


「もう……いいから。竜の民の神は……仕方ないから…。だから真の姿を………皆に晒さないで」


フウはチッと盛大に舌打ちをして、大きなため息をついた。


「よかったな。てめぇら命拾いしたぜ。このお人好しによ。ま、俺だったら確実に殺ってるけどね」


フウはチロッと蛇のような舌で自分の八重歯を舐めた。


フウの手には鱗のようなものがつき始めて、完全な姿になりかけようとしていた。


こんな白昼にあんな醜い姿を皆の目に晒すのは絶対にいけない。


後になってフウが困る……。


いや、もしかしたらもうダメかもしれない。


テルが……このフウをみてどう思うかだ。


「フウ!!!戻りなさい!!!」


私がそう叫ぶと、フウは眉をよせてこちらをみた。


「あ?」


「戻りなさい」


私がそう命ずると、フウはニヤリと笑った。


「今頃姉貴面か?ふざけるなよ。お前はこの世界が沈んでいくのをみていればいいんだよ。ただみていればな。何もしなくていいんだよ。武器もなにも持たなくていい。ただ陰でこの世界の終わりをみていればいいんだよ」


「フウ!!!!!!!」


私の髪色が赤色に変わるのと、フウの姿が元に戻るのが同時だった。


少しして私の体も元に戻り始める。


異常があるとすれば、フウの頬に鱗がついてしまったことだろう。


竜の民の神は少し面倒くさい体をしているから。