高台に上った私はスッと立ってターバンに手をかけた。
スルスルと髪が解放されていく気がする。
ターバンがとにかく邪魔だった。
フウの教えてくれた高台は人もいなくて、ずっとのけることのできなかったターバンものけれた。
「まず、朱雀の封印から解かないといけないよね」
私は高台の塀に登り、足をブラブラさせながらボケーっとしていた。
フワフワと伸ばした髪が踊っている。
と、そのとき声がした。
「あぶねぇーぞー」
この声には聞き覚えがあるよ!!
私は慌ててターバンを手に取って頭につけようとした。
が、その瞬間バランスをくずした。
「うぇ!?」
塀から落ちていくのがわかる。
これは……。
死んじゃうよー!!
ドサッ!!
「おい!いきなり落ちてくるなよ」
私は声の主、リクにお姫様抱っこをされている状況になった。
私はターバンで顔と髪を適当に隠しながら笑った。
「え、えへへー・・・」
や、やばい。
笑っている場合じゃないぞ私。
髪を隠さないと……。
そんなことを考えている時、リクが私の髪にさわったのがわかった。
うわぁ……。
絶体絶命だよ……。
「綺麗な髪だな」
……へ?
するすると髪に指が絡まるのがわかる。
「……嘘だ」
私はつぶやくように言った。
「嘘じゃない。フウから聞いている。ルウの髪が白銀のこと。さっき、ルウがターバンをとっていたところを見た。白銀の髪が光でキラキラしてて、すげぇ綺麗だと思った」
リクがそう言ったのと、顔を隠すためにあったターバンが取られるのとが同時だった。
「わわっ!」
私はかなり慌てた。
「顔真っ赤じゃん」
そんな私をよそにリクは、はにかみながら言った。
「う、うるさい」
私はそっぽを向いた。
髪が綺麗って言われることなんて一度もなかった。
だから、言われたいとは思ったけど、言われてみるとすごく恥ずかしい。
「と、というか、重いから下ろしてよ」
私はジタバタと体を動かした。
けど、リクは下ろしてくれない。
「嫌だね。ってか、全然重くないし」
私は小さくうなった。
「うぅ~~・・・」
すると、リクが笑いながらおろしてくれた。
「そんなに膨れるなって。ほら、上ろうぜ。話したいことあるし」
私は塀に軽くジャンプして乗った。
「本当に身軽だな」
私が塀に上ったのを見て、リクもあがってきた。
「そっかな……」
私は、ストンと腰を下ろした。
もう、ターバンをのけた。
フウが言っちゃってるし……。

