「……昔、奴隷制度が最も激しかった時期の蒼国にたった一人だけ白銀の髪を持った人がいた。その人の名前はジャリス。ある日、資本家と呼ばれる奴隷を扱っていた人たちに対して皆で反抗した時があったんだ。その中心人物、というか、反抗しようと考えついたのがジャリスだった。資本家たちはジャリスを自分たちの敵と見て、火炙りにした。それにもう一つの話もある。ジャリスは、白銀の髪だったため、何かの特殊能力を持っているんじゃないかって思われたんだ。だから、当時奴隷制度が最も激しかった蒼国と安国の住民はずっと白銀の人を警戒しているんだ。それに、俺たちの国はつい最近まで裏社会で奴隷制度をとっていた国だ。今でも人身売買はある。白銀の髪を持つものは高値で売れる。だから、この国では白銀の髪を持つ人を警戒しているんだ」
奴隷制度という言葉に毎回フウの耳がピクリと動いていたのがわかった。
フウは、なにか奴隷制度に思い出でもあるのだろうか?
「そうですか」
フウはそう言って窓のほうをみた。
俺は、決心してフウに言った。
「フウ、俺はそんな差別のない世界を作ることを目指している。だから、フウやルウの髪がどんな色でもかまわない。俺はルウを幸せにできる。だから、フウやルウのまだ隠していることを教えてくれ」
俺がそう言うと、フウがニヤッと笑っていった。
「その言葉が聞きたかったんですよ」
そして、立ち上がって窓をあけた。
「ちょっとリクさん、来てください」
俺は、フウの後について窓の傍に行った。
「ほら、あそこの高台見えますよね。多分、ルウはあそこに行きます。今から行ってみてください。僕とルウのすべてがわかると思いますよ」
俺はうなずいて客室から足早にでた。
ジンは付いてこなかった。
ジンもきちんと空気を読んでいるんだろう。

