太陽の竜と闇の青年

「い、壱!?」


私が壱に駆け寄ったとき、壱の体からマリオネットを持った男の子が出てきた。


男の子は目を包帯でグルグルと巻いていた。


「……マリオネット!?」


壱が荒い息をつきながら男の子を睨んだ。


男の子はニヤッと笑った。


「はぁ~い♪壱、この前僕が君に僕の力を見せてあげるって言っただろう?それが、このときだよ」


マリオネットが細い糸を超鬼へと向けた。


その瞬間、超鬼はピタリと動きを止めた。


「シャーマンだと?」


白虎が目をほそめてマリオネットをみた。


マリオネットはニヤリと笑った。


「僕のもう一つの名前はドルダム。人やものを糸で括り操ったりできる便利な力さ」


ドルタム、マリオネット。


この二つの名前をもつシャーマンは壱の体に存在する。


私は体を少し震わせた。


自分でも気づかないうちに。


そのとき、超鬼が悲痛な叫び声をあげた。


「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!ああああああ!!」


マリオネットはきゃはは!と楽しそうな笑い声をあげた。


「さぁ!もっと鳴けよ!喚けよ!もっと僕にその声を聞かせてよ!!」


マリオネットは糸で超鬼を操る。


超鬼は自分で自分の体を痛めつける。


……こんなの、こんなのおかしいよ!!


だってまだ超鬼は何もしてこない。


知っていた。


地獄門で超鬼に会ったとき、害する者と害しない者がいたことを。


この超鬼は害しない者だ。


何もしてこない。


そんな奴が無差別に殺されてたまるか!!!!!!