太陽の竜と闇の青年

「あー……」


白虎はすぐに私から飛び退いた。


そして壱に悪そうに頭を下げた。


壱は深くため息をつくと、私の腕を掴み立たせてくれた。


「にしても、何で白虎がでてきたのさー」


フウがニコニコしながら白虎に聞くと、白虎は自分でも分からないとでもいいたげに首を傾げた。


「問題は朱雀や玄武がなぜでてこなくて、白虎だけができてたのか、ということだな」


壱が顎に手を当てた。


白虎はその瞬間にクルッと回転して動物へと変化した。


「ええぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」


「んなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


ネロとテルが愕然として白虎をみた。


白虎は日光の光に当たって毛皮がキラキラと光った。


「四神の神なのだから、これぐらいできて当然だろう。それとも何だ?貴様等人間は四神のことすらも忘れたというのか」


白虎は金色の鋭い目でテルとネロを睨んだ。


そのとき、天照が白虎を落ち着かせた。


「まぁ、仕方ないのではないでしょうか。我らが封印されて何百年と経っているのですから」


すると、白虎はフンッと鼻を鳴らした。


「犬神か。久しぶりだな。ずっと青竜様について回っていた犬め」


その言葉を聞いた天照も鼻を鳴らした。


「白虎ですか。あなたはいつも皆の意見に忠実に従っていましたが、時に反抗するときがありましたね。その時の反抗姿といったら……。おぞましいものでしたよ」


白虎はがぅ、と天照に一吠えすると、私をみた。


「犬神との言い争いはここまでにしておきましょう。私が出てきたのは、きっと青竜様を呼び出すどこかを探すためでしょう。そう考えるのが妥当です」


私がうなずいたとき、雨がポツポツと降り出した。


それを合図かのように天照が金色の犬へとかわった。


しかも、天照の体や顔には、不思議な駒鳥が赤色で描かれていた。


「その駒鳥、何か意味があるか?」


壱が眉をしかめて天照をみると、天照は尻尾を振った。


「特にありません。生まれつき駒鳥をもって育ったものですので。それよりも、青竜様が蘇りますよ」


顔をあげると、さっきまで青かった空は黒ずんできた。