太陽の竜と闇の青年

ルウの双子の弟、フウに会った次の日、まさかの出来事が起きた。


「坊ちゃん!!坊ちゃんってば!!」


俺は、ジンに無理矢理起こされた。


「んだよ……。うるせぇなぁ……」


俺は不機嫌そうに言った。


が、次の瞬間、ドカッと腹の上に何か重いものが置かれた。


「うぉ!」


俺は、ガバッと起きあがった。


ジンは、こんな起こし方をしない。


ってことは……。


「誰だぁ!!」


「うわぁお!!結構激しい起き方するんだねー。ハハハ!」


……この声は……。


俺は、ガリガリと頭を掻きながら言った。


「フウか」


俺の隣にたっていたフウはにんまりと笑っていった。


「こんにちは。リク様」


……あ?


俺、フウに王子ってこと言ったっけ?


いや、言ってない。


絶対に言ってないぞ。


「ちょ、ちょっと、フウ様!!ちょ、ちょっとだけお部屋から出てくれますか?これから、坊
ちゃんはお着替えと朝食、それから髪を整える時間なので……」


すると、フウはひらひらと手を振っていった。


「うん。いいよー。客室は悪くないしねー。んじゃ、待ってるよ」


フウが出ていった後、俺とジンは少しの間黙り込んでいた。


「おい、何でフウが俺のこと王子って知っていたんだ?」


俺は、着替えながらジンに聞いた。


すると、ジンは困った顔をして言った。


「それが、教えてくれないんですよ」


「教えてくれない?」


俺は、かなり眉をひそめて聞いた。


ジンが肩をビクンッと動かしたのが分かる。


「え、えぇ。教えるのは、後からと言われました」


俺は、髪を上できっちりと結い上げられた。


これ、結構痛いんだよな……。


そう思ったら、風国のターバンはとても楽そうだ。


後でフウに聞いてみるか。


風国もきっと髪を長くする習性は変わってないだろうし。


俺は、朝食を食べ終わり、歯を磨いてから客室に向かった。


客室に行くと、フウが紅茶を飲みながらその辺に置かれてある絵を眺めていた。