太陽の竜と闇の青年

フウの叫び声に駆けつけてみれば、そこにはイコがいた。


イコは私をみつけると、走って私のところに飛び込んできた。


「な、何でここにイコがいるの?」


イコはニヒッと笑った。


「イコ、トゥーナ様に、おつかい、頼まれた!」


イコは少ししゃべるのが下手なのか、片言になっている。


「ジーナ様?」


フウが訪ねるとイコはうん、とうなずいた。


「ジーナ様、イコ侍従にした。イコ、がんばる」


イコの言っているトゥーナという女性はタエラ=ジーナという名前で先進国の動国の王女だそうだ。


私は新しくなった動国には行ったことあるけど、ジーナには会ったことが一度もなかった。


フウがイコの背中を指さした。


「イコ、翼のことはいわれなかったのー?」


壱が私の隣に来て、首を傾げた。


「翼……?」


私はうなずいてイコの翼が見えるようにイコを動かした。


「動国の民族は皆翼を持っているんだよ。ただイコみたいな灰色の翼じゃなくて白色の翼なんだ」


イコはニコッと笑った。


「ジーナ様、赤い翼!イコの翼、灰色!」


フウがイコの頭をぐしゃぐしゃにかき回す。


「つまりジーナは皆と違う翼の色をしている同じ者同士でイコを侍従にしたってことー?」


イコはニコニコと笑ってうなずいた。


「ところでその目のやつは何だ?」


壱がツンッと長い綺麗な指でイコの目にある機械をつついた。


「ん?あぁ、HMDのこと?」


フウが剣をキンッとしまった。


「HMD?」


壱が首を傾げるとフウはうん、HMDとうなずいた。


「HMDっていうのはゴーグルのようにもヘルメットのようにもみえる形をした表示装置で、頭部とか、メガネみたいにかけて装着すると左右の目のすぐ前に画面が一つずつセットされるんだ。単に画面を表示するだけではなくて、左右のディスプレイに少しずつ違った映像を表示することで立体感を表現するものなんだよ。空を飛べることのできるイコたちにとっては、視界は大切だからね。動国の住民は皆ほとんどHMDをつけてるよ」


イコが首を振った。


「ジーナ様、つけてない」


フウが苦笑いを浮かべた。


「ジーナって人は王女だからいいんだよ。王女は飛ぶ必要ないからねー」


するとイコはふぅーんと興味なさそうに答えた。


私はそっとイコの頬にふれた。


「イコ、もうイジメられてない?」


イコは私を見上げてニコッと笑った。