太陽の竜と闇の青年

――――少女は私にこう聞いたのだ。

「どうしたの?」

私は素直に答えた。

「四神の神が死んだ。この国は壊れてしまうのか」

すると少女は笑って言った。

「壊れないよ。だって、国は皆の宝物だもの。皆が壊すはずがないよ」

私は驚いた。

こんな小さな少女が国は壊れないという。

なにより……、笑っている。

どこの奴隷市場に行ってもどこの工場に行っても、笑った奴隷は一人もいなかった。

「だが……、四神が死んだことは確かだ。そうすれば、次は誰が四神になるのだ?」

少女は私の手に傷だらけの自分の手をのせた。

「四神は死んでいない。生きているよ。ただ、翡翠が壊れただけ。翡翠が元に戻ればすべて元に戻る。こんな時代も終わる。そのためにあなたや私がいるんだもの」

私は彼女の言葉に感動した。

涙が止まらなかった。

そんな私を少女はほほえみながら優しく見ていてくれた。

やっと泣き終わった私は少女の目をしっかりと見て聞いた。

「君の名前は?」

「私はジャリス」

彼女は自分の名前を胸を張って言った。

「ジャリスか。いい名前だな」

私がそう言うと彼女は笑って聞いてきた。

「あなたの名前は?」

「私は、ファジだ」

少女は私の名前を何回かつぶやいた後、笑顔で言った。

「ファジ。うん。しっかりと覚えたよ」

私もその笑顔につられて少しだけ笑った。

それから、

「ところで、君の髪は何で白銀なんだ?この世界ではなかなかいないだろう」

と、私はジャリスに聞いた。

するとジャリスは小さく笑った。

とても、とても悲しそうに。

「私でも分からないの。何で白銀なのか」

私はジャリスの髪に触れながらつぶやいた。

「綺麗な髪だ」

すると、ジャリスは初めて感情を表したように驚いた顔をした。

それから、

「ありがとう」

と笑った――――