太陽の竜と闇の青年

男の容姿は不思議なものだった。


男の背中からは悪魔のような大きな黒い翼が生え、笑った顔からは鋭い牙のようなものがみえた。


長い指からは長く鋭い爪が伸びていた。


印象的なのが、さっきもいったようにこちらをみた左目の中には太陽の不思議な文様が黒で描かれていた。


男の手は血のように真っ赤だった。


「ルウー♪僕たちも来ちゃったよー」


普段通りのフウに俺も普段通りの俺を演じる。


シルバは少しだけぎこちないがな……。


「うん。もうビックリしたじゃんか!ねぇ、フィンド」


ルウがフィンド、と呼んだ男は姿をかえ、細身の20代の男へと変わっていた。


だけど、その顔は……。


「なんちゅーイケメン……。あー、いや、でも……」


俺とフィンドを交互にみてフウは言った。


「やっぱ壱のほうがイケメンだな。うん。なっ!シルバ!」


シルバは首を傾げて苦笑いを浮かべているだけだった。


「で?この人、誰さ」


フウが直球にルウに聞いた。


ルウはやんわりとそれを受け止め、あっさりと答える。


「ここでの私の魔物、マーダーフィーンド。ニックネームはフィンド。すっごい強いんだよ。それから、これが私の弟のフウ。頭がよくて意地悪するのが得意なんだよ。気をつけてね。こっちがシルバ。剣の腕がすんごいよ!それで……」


ルウがニコッと笑って俺をみた。


「こちらが空風壱。和国の第一王子兼暗殺者。強いし、頭もいいから完璧青年だよ」


俺は頬をポリポリとかいてフィンドをみた。


驚いたことに、フィンドはじぃぃっとこちらをみていた。


俺はてっきり興味がなくてどっかへっちょこを向いていると思っていた。


「な、何だ?」


俺がフィンドに訪ねると、フィンドは少しだけ首を傾げた。


「何でもない」


っとに、何なんだよ。


そのとき、シルバが両手をパンッとあわせた。


「どうでもいいが、さっさとここからでるぞ」


俺たちはうなずいた。


だが、一人だけうなずかないものがいた。