太陽の竜と闇の青年

「おい、壱……。今すぐ逃げろ!!!」


フウが叫んだと同時に扉が大きく開かれ俺たちは地獄の中から出された。


「っな!!」


「何をするんだ!!」


俺とシルバの怒号もかき消すぐらい大きな声が部屋に児玉した。


「怒りに狂ったルウは誰にも止められないんだ!あの場所にいたら完璧に僕たちの存在はもうなくなっているよ」


それでも心配になってしまった俺たちはちょっとだけ扉を開けて地獄の中をのぞき込んだ。


そこにはさっきみたのよりも大きい超鬼がいる。


その足下には小さく細いルウがいた。


あんなでかい奴に勝てるわけがない。


しかもルウの隣には細身の男一人だけだ。


「ウィン弟。アレではウィンが殺されるのは確定しているぞ。助けに行かないのか」


シルバが眉をしかめてフウをみた。


フウはブンブンと大袈裟に首を振った。


「大丈夫だよ。あぁなったルウに勝てるものなんて誰一人いないよ。神でも勝てないね」


そんな自信はどこからくるのか不思議に思ったが、フウの顔は真剣そのものだった。


「もう一つ聞きたいんだが、この風は一体何なんだ?」


俺がそう聞くと、フウはニヤリと笑った。


それと同時に強い風が俺たちの髪をたなびかせた。


「風国の住民は産まれたときから風を操る力を持っているんだ。僕たちみたいな移民には操れないんだけど僕たちは特別ってことで、その能力を取り込んだんだよ。方法は厳密のことだからいえないけど、シルバが使っていた錬金術ぽかったけどなぁ。んで、その風を操る力が偶然にもルウは強くなったっていう簡単な話だよ」


なるほど……。


シルバが俺たちをこっちに連れてくることが可能だったのだから、風を操る力を錬金術で取り入れることも可能なんだろう。


俺がルウに目線を送ったとき、ルウがこちらを凝視していた。


「……?」


俺たちが首を傾げた瞬間、ルウが超鬼の大きな手に捕まれて持ち上げられた。


ルウの体はすっぽりと超鬼の手の中に入り、今ルウはどうなっているのかもわからなかった。


「ルウ!!!!!!」


俺たちが慌てて飛び出すのと男が超鬼の腕をあのバカでかい鎌で切り落とすのが同時だった。


手の中からでたルウはそのままスタンッと軽い音をたてて着地した。


「よそ見をするな」