太陽の竜と闇の青年

「そうか。やはり私は200年もの間、この地獄にね。情けないものだわ。きっと、すべて私の自分自身への甘えが原因なのでしょう。私にはあの竜の民を葬ったというおごりがあった。そのおごりがあるだけ殺したことに捕らわれ後悔も増した。弱いね。私は」


私は石をコツンッと蹴った。


「そんなことどうでもいいよ。それより、私はあなたと話せてよかった。200年前のことも聞けたしね。私が何で刻破りを使えるのかもわかったし」


すると女性は微笑を浮かべた。


「フ……。私も驚いたよ。よもや、200年後の子孫とこうして会うことになるとは……。これも戦におもむくにあたり子を残したおかげというのかしら。ルウちゃん。貴方もちゃんと子を残してきたの?」


……!?


ボッと顔が一瞬にして赤くなったのがわかった。


「いやいやいやいや、その、私には……」


すると、フィンドがサラリアにつけたした。


「こいつ、恋愛とかに興味ないらしいんだ。だから、好きな奴もろくにつくれねぇんだと」


それを聞いたサラリアは小さく笑った。


「そう。それなら魅力的な男性を探してね。私たちは死を覚悟して戦に臨んでいる。私たちの存在理由は腐ったこの世界を変えるため。竜の民として生きてきた限り、世界を変える力はある。世界を変えるための手段は……。王族と戦を起こすこと」


私は目を閉じてサラリアに言った。


「私はもう一つの方法を選ぶ」


するとサラリアは真剣な面もちで言った。


「そう。難しいわよ」


……。


「わかってる。でも、心がそう言っているんだ」


すると、サラリアはフフ、と笑った。


「大切なものは心で決める、か。いいわね。あなたたちならあるいは本当に変えられるかもしれない。この腐った世界を――――」


グシャッ


私の頬や服にドロドロとした液体のような物が飛び散った。


「……貴様、目が視えないからいっておくが……。サラリアは殺されたぞ」


冷静なフィンドの言葉に私は顔をあげ、目の前にある大きなハンマーのようなものをみた。


そして、その下にいるであろうつぶされてしまった女性のことを。