太陽の竜と闇の青年

「ハハハハハ!どうしたの?反撃しないの?生きてここを出られるのは敵を討ち倒した者だけなのよ!私はでる!貴方を倒し、晴れて現世の世界にね!!」


「なっ!?」


「くらえぇ!!」


メキッと音がして、私は壁までぶっとんだ。


「おい!!大丈夫か!?」


フィンドが私に声をかける。


だけど、私には答えを返す力もない。


肋骨、やられてる……。


「貴様、何をした!!」


フィンドがそう叫んだにも関わらず、サラリアは何もない場所を遠い目でみてつぶやいた。


「さぁ……。次の相手は誰……?私は……あと何人倒せばいいの?」


「な……」


フィンドが呆然としているなか、私はゆっくりと立ち上がった。


「ちょっと待ってよ。私はまだ戦える」


「貴様!もうやめておけ!!」


フィンドが私の腕をつかんだ。


「大丈夫だよ。フィンド。それに、私なんとなくわかってきたから。きっとこの人はここに縛られているんだ。罪人同士が半永久的に殺し合いを繰り返す地獄に。でもここが地獄だからこそ私たちにできることがある」


肋骨の傷が癒えていく気がした。


私は邪魔なターバンをはずした。


くくった髪がバサッとおりてきた。


後ろを振り返った女性が驚いた顔をしてこちらをみた。


「我が民族と同じ髪色。それに、刻破りの刺青……。貴方、何者……!?」


私は笑ってペコリ、とお辞儀をした。


「初めましてだね。私はウィン=ルウ。信じれないかもしれないけど、200年後の貴方の子孫です」


よかった……。


目に活力が戻った。


もしかしたら、やっぱりこの人は……。


「ぬかせぇ!!」


女性は剣を振りあげた。


「200年前の世界を壊せしその力。打ち破らぬば堕つもやむなし。いくよ。フィンド!!!」


きっと、きっとそうなんだ。


この人はこの地獄に縛り付けられている。


それは今も悔やんでいるからだ。


200年前に世界を壊し、民族を民族の手で殺してしまったことを。