[壱]
「耳が……聞こえない……?」
俺はルウを凝視した。
ルウはうなずいた。
「うん。だから壱の声もクラウドの声も聞こえない」
ならば……。
「なぜ俺が言っていることがわかるんだ?」
ルウはニコニコと笑いながら答える。
「口の形でなんとなくわかるんだ。わからなくなったら表情から読みとる。昔から表情をみて誰が何を思っているのかは大体わかるようになったから」
「なぜ耳が聞こえなくなったんだ?」
ルウは少しだけ悲しそうな目をした。
「私、気づいたことがあるんだ。きっと人は何かの犠牲なしに何かを得る事なんてできないんだよ」
俺はルウをみた。
いつもとは違うルウ。
いつもは明るく考えるルウが今は違う。
暗い考えを持ち、それが正しいと考えている。
「ルウ。ヘルの所で何を聞いたんだ?」
ルウは微笑を浮かべた。
「ヘルは耳が聞こえなかったんだよ。だから、私の耳をあげるかわりにシルバの刻印と私の刻印を消すことと、シルバを私の仲間に入れることを承諾した。だからまじないで私の耳を聞こえなくしてヘルの耳を聞こえるようにしたんだ。結局私が殺してしまったけどね」
ルウは何ともいえない表情になった。
「ルウ、お前は今まで何をみてきたんだ?」
俺がルウに訪ねると、ルウは少し黙ってから答えた。
「人間がどれほど貪欲なのか、人間は欲望深い。お金もほしい、愛する人もほしい、能力もほしい。すべてを手に入れるのは結局王族だっていうのにね」
ルウの顔は悲しげだった。
俺は反射なのか、それとも自分の意志なのかルウを抱きしめていた。
「何でそんな顔すんだよ……」
抱きしめた今、ルウは俺の口の動きを見とれない。
だから何を言っているのかわからないかもしれない。
だけど俺はしゃべり続けた。
「そんな顔するんなら自分を犠牲にするなんて考えはやめろよ……。俺たちだって仲間だろ?少しくらいは俺たちを頼ってくれ。それとも俺たちは頼りない存在のままなのか?」
ルウは人は何かの犠牲なしに何かを得る事などできないと言っていたが俺は違う気がする。
犠牲をしなくても手に入れれるものはあると思う。
確信はないが絶対にあると思っている。
そう信じていたい。
「壱、ごめん。ごめんね……」
ルウが何故か俺に謝ってきた。
俺が首を傾げると、ルウの手から杖が滑り落ちた。
そして、ルウの体は俺に重くのしかかった。
「耳が……聞こえない……?」
俺はルウを凝視した。
ルウはうなずいた。
「うん。だから壱の声もクラウドの声も聞こえない」
ならば……。
「なぜ俺が言っていることがわかるんだ?」
ルウはニコニコと笑いながら答える。
「口の形でなんとなくわかるんだ。わからなくなったら表情から読みとる。昔から表情をみて誰が何を思っているのかは大体わかるようになったから」
「なぜ耳が聞こえなくなったんだ?」
ルウは少しだけ悲しそうな目をした。
「私、気づいたことがあるんだ。きっと人は何かの犠牲なしに何かを得る事なんてできないんだよ」
俺はルウをみた。
いつもとは違うルウ。
いつもは明るく考えるルウが今は違う。
暗い考えを持ち、それが正しいと考えている。
「ルウ。ヘルの所で何を聞いたんだ?」
ルウは微笑を浮かべた。
「ヘルは耳が聞こえなかったんだよ。だから、私の耳をあげるかわりにシルバの刻印と私の刻印を消すことと、シルバを私の仲間に入れることを承諾した。だからまじないで私の耳を聞こえなくしてヘルの耳を聞こえるようにしたんだ。結局私が殺してしまったけどね」
ルウは何ともいえない表情になった。
「ルウ、お前は今まで何をみてきたんだ?」
俺がルウに訪ねると、ルウは少し黙ってから答えた。
「人間がどれほど貪欲なのか、人間は欲望深い。お金もほしい、愛する人もほしい、能力もほしい。すべてを手に入れるのは結局王族だっていうのにね」
ルウの顔は悲しげだった。
俺は反射なのか、それとも自分の意志なのかルウを抱きしめていた。
「何でそんな顔すんだよ……」
抱きしめた今、ルウは俺の口の動きを見とれない。
だから何を言っているのかわからないかもしれない。
だけど俺はしゃべり続けた。
「そんな顔するんなら自分を犠牲にするなんて考えはやめろよ……。俺たちだって仲間だろ?少しくらいは俺たちを頼ってくれ。それとも俺たちは頼りない存在のままなのか?」
ルウは人は何かの犠牲なしに何かを得る事などできないと言っていたが俺は違う気がする。
犠牲をしなくても手に入れれるものはあると思う。
確信はないが絶対にあると思っている。
そう信じていたい。
「壱、ごめん。ごめんね……」
ルウが何故か俺に謝ってきた。
俺が首を傾げると、ルウの手から杖が滑り落ちた。
そして、ルウの体は俺に重くのしかかった。

