太陽の竜と闇の青年

[壱]


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


扉の前に立ったときヘルの断末魔が耳をつんざいた。


俺たちが急いで扉をあけるとそこには倒れたヘルと片手に剣をもち、大量に返り血を浴びたルウの姿があった。


俺たちが呆然と扉の前で突っ立っていると、ルウがこちらを振り返った。


悲しそうな目をして、だけど口は笑っている、そんな不思議な表情で俺たちに言った。


「ごめん。ごめんね。皆」


そして倒れたヘルの心臓に剣を向け、狙いを定めるとポツポツと言葉を紡いだ。


「………………さようなら」


ドスッと音がしてヘルの断末魔がピタリと止んだ。


ゆっくりとルウに近づいていくと、ルウは剣から手を離した。


「まさか……本当に……」


シルバはヘルの横に膝をついた。


ルウはヘルを殺した。


「私はヘルを殺した」


オオリを殺した剣をみるとそれはルウのものではなかった。


そのことに何故か安心してしまった。


「ルウ。早くでよう」


俺がルウに言ったがルウは動かない。


「ルウ?」


俺が顔をのぞき込むとルウはハッとして、俺に言った。


「え?あ、ごめん。もう一回言ってくれる?」


俺は扉を指さした。


「だから、早くここからでるぞ」


「うん。そうだね」


返事は返してくれたものの、俺はルウの異変に少しだけ気づいた。


だけど、それは人を殺めたからだと思っていた。


実際はそんな簡単なものではなかった。


ルウはまた一つ何かを犠牲にしてしまっていたんだ。


そのことに気づけなかった自分に後で苛立ちを覚えた。