太陽の竜と闇の青年

[壱]


グイッと肩を引かれ、後ろを振り返ると、少し焦った表情のシルバがたっていた。


「どうした」


俺がシルバの表情がおかしいことに気づいてシルバに聞くと、シルバは階段の上を指さした。


「ウィンがヘルのところに戻っていった。何か大切なものを忘れたと言っていた」


俺が目を見開いたのをみてシルバは話を続けた。


「これを自分に渡してきた」


シルバが手にしていたものは翡翠だった。


「何故だ?ルウは一人でヘルと戦うというのか?」


俺がシルバに訪ねるとシルバは首を傾げた。


シルバにもルウが何をしたいのかは分からないようだ。


というか、大切なもの……?


ヘルの場所にルウの大切なものはあるのか?


そのとき俺の頭の中にルウが何をしたいのか一つだけ思い浮かんだ。


階段を駆けあがろうとしたとき、


「ギャァァァァァァァ!!」


というヘルの断末魔が聞こえた。


皆その声に気づき上を見上げた。


「な、何?」


クラウドが恐怖の顔になっていく。


俺は上を見上げたまま皆に言った。


「クラウドとサクラ、ラカとフウはすぐに集落に向かって人を集め、安全な場
所に移動させろ!この塔が倒れても大丈夫なところにだ!シルバは一緒に来てもらう!!」


クラウドとサクラとラカとフウが下に降りていったのをみて、俺たちは急いで階段を駆け上った。


その間にもヘルの断末魔は聞こえたままだ。


「いったい……。一体ウィンは何をしているんだ?」


シルバがつぶやくように言った。


「まだ仮定の話だが……。ルウは一人でヘルに戦いを挑んだんだと思っている。何でも一人で抱え込んで、何でも一人で解決しようとする馬鹿な奴だから」


少しは自分たちの力を借りようと思ってくれてもいいのではないかと思う時がある。


だけどルウはそれを許していない。


人に頼ることが自分の弱みだと思うかのように誰にも手を借りないんだ。