太陽の竜と闇の青年

ヘルの手から髪を離されたウィンはウィン弟と空風を押した。


「大丈夫だから。ヘルに剣を向けないで」


自分を含め、ヘルとウィン以外は驚いた顔になった。


先ほどまであれほどヘルに怒りをかっていたウィンが今はヘルに剣を向けるな、と言っている。


部屋で何があったんだ……?


ウィンはヘルを睨んで言った。


「約束は絶対だな?さっきみたいなことはしないな」


ヘルは楽しそうに笑っていった。


「ひょっひょっひょ。もちろんだとも。あたしは絶対の約束は守るよ」


ウィンはヘルの言葉に疑わしい表情をみせたが、白虎のほうへと歩いて白虎を少しだけ見上げた。


「白虎、翡翠の中に入ってくれる?」


白虎は抵抗もせずに動物の姿にかわ……!?


動物の姿!?


自分が白虎を凝視していたのが分かったのか、フリスが自分の隣にきて説明してくれた。


「四神は四人いてね、朱雀玄武白虎青竜といるんだよ。それぞれ四人は動物の姿を持っていて、白虎はホワイトタイガー、朱雀は朱雀、玄武は蛇と亀。青竜はまだ会ったことないから分からないんだ」


自分はフリスを見下ろした。


フリスは微笑を浮かべた。


「この三人はルウがよみがえらせたんだよ。あと九尾っていう狐の男の子も。ルウは不思議な力を持っているんだろうなぁ……」


不思議な力。


それはまじないとは別の物なんだろうか?


ウィンがこちらをみた。


「早く部屋から出よう」


自分は驚いてヘルをみた。


ヘルは笑って言った。


「ひょっひょっひょ。約束だからね。仕方ないよ。シルバはあんたにやろう」


それを聞いたウィンはニヤリッと笑って、自分とフリスの背中を押した。


階段を真ん中まで降りた頃、ウィンがピタリと足を止めた。


自分が上を見上げてウィンをみるとウィンは複雑な表情をしていた。


「ウィン?」


自分がウィンの名前を呼ぶとウィンは首にさげていた三つの翡翠を取り、自分に投げてきた。


自分はそれを落とさないように受け止めた。


だが、なぜウィンが自分にこれを渡したのか分からなかった。


自分は首を傾げた。


「それ持ってて。ちょっと大切なものを忘れてきた。先行ってて。絶対に戻ってこないでね」


ウィンはそれだけいうと、ヘルの元へと戻っていった。


あの危険な場所へ。


俺は急いで階段を駆け降りて空風の肩をつかんだ。