太陽の竜と闇の青年

「自分は自分が存在することの大切さを知りたい。だから親が生きていた時に行きたい。そこで自分がなぜ産まれたのか、何故自分を産んだのかを知りたい」


自分がそういうと、ウィンは見ほれるほど明るく優しく柔らかくほほえんだ。


「そっか。シルバはその時に行きたいんだね。うん。シルバらしい」


自分はウィンをみた。


「ウィンはどこに行きたいんだ?」


ウィンはフッと息を吐いた。


「そうだなぁ……。私はいいや。私は今の時間が一番幸せだから。だからどこにも行かなくていい。確かに竜の民の皆に会いたい気持ちとかあるけど、死んでしまったんだから。たとえ会ったとしてもこっちに戻ってきたらあえなくなる。そんなの悲しいじゃん?今は仲間がたくさんいるし」


自分は思う。


ウィンのような女性はこの世にウィン以外にいないだろう。


着飾ることも考えず、恋などというものにも金のことにも興味を示さず、ただ仲間のことを考える。


何よりも楽しむことを喜びとしている。


不思議な女だ。


自分は少しだけ決心してウィンに訪ねた。


訪ねていいのかどうか、分からなかったが。


「ウィンは……。目が見えていないのか?」


ウィンは少しだけ悲しそうな目をしてこちらをみた。


だけどその目には絶望などというものはなかった。


なんだか不思議な光が目に宿っていた。


「うん。実は潰されたんだ。ある所でね。まぁ、それが人かどうかと聞かれたら「うん」とも「いいえ」ともいえないんだけど。だけど私は元から目から入る情報は信用してなかったから。資料なんて嘘なものがほとんどだし。でもやっぱり皆の顔が見えないのは困るよね。最近、ますますボヤけてきて服の色も分からなくなってきているんだよ。今見えるものとすれば……んーっと。あははー。ほとんどみえないや。んー……あえて言うならあそこからこぼれる光ぐらいかな?まったく、杖がないとこけそうになるんだよ」


自分は不思議に思う。


何故この女は目が見えなくて不自由だというのに、こんなにも笑っていられるのだろうか?


それに、神経を集中しなければ、何がどこにあるのかなど分からないと思う。


だが、この女はどこに何があるのか余裕で分かっている。


この女からは何かとても強い力を感じられた。


「シルバはこのままヘルの人形として一生を終えるつもりだよね?」


自分はうなずく。


そうすればきっと誰も傷つかない。


「じゃ、ヘルをぶっ飛ばしてさ、私たちと一緒に旅しようよ!」


…………。


自分はどうしたいのだろう?


行きたいと思う反面行ってはいけないと思っている自分が存在する。


「自分は……」


自分が答えを出そうとしたとき、ウィンが口を挟んだ。