太陽の竜と闇の青年

「ヘル!!!!」


ウィンがゆっくりと起きあがる。


さっきまで寝ていたことなんて思わせないような鋭い目つきだった。


「ほぅ。起きたのかい」


ヘルが楽しそうに笑ってウィンに近づいた。


「ヘル、お前はどれだけ卑下な奴なんだ!!!」


ウィンはバッと起きあがった。


そのときヘルが赤い光を浮かばせた。


「……!!!」


ヘルがそれを握ると同時にウィンが倒れ込む。


その様子をみていても何もできない自分がいた。


自分がいなければ二人は生きられたのか……?


自分が呆然としてた時、ヘルがうずくまったウィンの頬を蹴った。


ガツッと鈍い音がして、ウィンは壁に体を強く打ちつけた。


気づいた時には遅くて、ヘルは高笑いをして牢から出ていった。


ヘルが出ていった後、ウィンがむっくりと起きあがった。


「あははー。もう最低だよねぇ。これでも一国の王女なんだよ?そんな王女に手をあげるなんてサイテー」


ウィンは額から血を流しながらも自分に笑いかけてくれた。


そこで気づいた。


ウィンは完璧に自分とは違う場所に存在している。


ウィンは光。


自分は闇。


住む場所が全然違うんだ。


自分が壁に背をついて座っていると、ウィンが天井を仰ぎながら聞いてきた。


「ねぇ、何をそんなに背負っているの?」


………………。


自分は……。


自分は皆を巻き込むわけにはいかないんだ。


自分という存在がある限り……。


小さく息を吸った。


「自分は心なきただの砂の風。近づくものを切りきざむ刃の風。剣に命じられるまま進み、いつか散っていくだろう」


ウィンが小さく笑った。


「へ~。そういう人生もいいかもしれないね」


予想外な反応に自分は驚いてウィンをみた。


ウィンは遠くをみるような目をしていた。


「でも私はもっと楽しく生きたいな。仲間と一緒に馬鹿騒ぎをして、仲間と一緒につらいことも乗り越えて、仲間と一緒に旅をするんだ。すごく楽しそうじゃない?」


その仲間がアイツらか。


確かに個性的な面子だったな。


ウィンの目がこちらに向けられた。


白銀の目が輝いていた。


「もし時間を飛び越えてどこにでも行けるとしたらシルバはどこに行きたい?」


自分が行きたい場所……。


自分の頭の中に一つだけ行きたい場所が見つかった。