太陽の竜と闇の青年

隣の牢が開く音で眠りから起きた。


だけど目をあけるのが億劫で耳だけ澄ましていた。


「ひょっひょっひょ。シルバも女も馬鹿だのぅ。人は信じすぎてはいけないのだよ。必ず裏切る時があるからのぅ」


まさかと思って身を起こすと、信じ難い光景が目の前に広がっていた。


何故……。


「何故ここにウィンがいるんだ!!!!」


自分は飛び起きて牢の向こう側で笑っているヘルに威嚇した。


しかし、ヘルは怯むことなく自分をみる。


「ひょっひょっひょ。殺さないとは言ったが、生け贄にしないとは言っておらぬよ?勘違いをされては困るのぅ」


何って奴だ……。


自分は無意識の内に唇をかみしめていた。


ヘルが首を傾げて自分をジッとみた。


「シルバ。いつものシルバはどこに行ったのだ?どうしてここまでこやつらに拘る?いつもならば拘らず、あたしの儀式を黙ってみている人形だったというのに」


…………。


そう言われればなにも言い換えずことはない。


事実だからだ。


自分がうつむいた時、ヘルの手に赤色の光が灯された。


ヘルはそれを楽しそうに握りつぶした。


「……うっ」


呻いたのはウィンだった。


もしかしてヘルは……。


「ウィンにペダラをかけたのか!?」


自分が驚愕の声をあげると、ヘルは楽しそうに笑った。


「この子の心臓は綺麗な色をしているよ……。食べたら美味しいのかのぅ?」


自分はヘルを見据えた。


「冗談でもそんなことをいうな」


ヘルは自分をみて楽しそうに笑った。


「わかっておる。シルバが戻ってきただけでよかったのだ。それにしても……」


ヘルはウィンの顔をまじまじと見つめた。


「竜の民はかなり前に滅びたと聞いておったが……。生き残りがおったとはな……。嘘だとは思ったが、銀色の髪……正真正銘の竜の民だのぅ」


そんなこと今はどうでもいい。


ウィンが竜の民だろうと関係ない。


ついでに言うなら竜の民など興味がない。


「とにかくウィンだけでも出してくれ。ペダラも解いてくれ!」


ヘルが自分の声に身を竦めた。


「シルバ、そんなに怒らないでくれ。たとえシルバがまじないを使えないと言っても、それは自分が使おうとしないだけで本当は使えるのじゃから。なんていったって、シrバの親は二人ともあたしよりも強いまじないが使えたのだからのぅ。ひょっひょっひょ。だけど二人とも大罪をおかしてしまったからのぅ。シルバさえ産まれてこなければ、生きていたのかもしれぬのにな」


自分がヘルに歯を剥こうとしたとき、凛とした声が響いた。