太陽の竜と闇の青年

その時……。


「……!?」


いつも以上に締め付けられている。


何か縄のようなもので……。


”シルバ。あたしの元へ帰ってくるならば今回のことは許してやろう。だが戻ってこないというのならば、今ここで殺すことがあたしにはできるのだよ。ひょっひょっひょ”


テントの中にヘルの言葉が木霊した。


ぐぐぐっと自分は胸元を握る。


心臓の音が聞こえる。


脂汗が大量に額からでてきた。


「ヘル!!」


ウィンが怒ったような顔になった。


”ひょっひょっひょ。そんなに怒るでない若い女よ。あたしはあんたを殺そうとは思っていない。なんてったって、あんたはあたしの儀式の生け贄だからね。ひょっひょっひょっひょ。さて、シルバよ。どうするのじゃ?”


自分は額を拭った。


言葉を発しようとしたとき、フリスの声がした。


「どうしてシルバさんには前をみることさえできないんだ!どうしてシルバさんには手を伸ばすことさえ出来ないんだ!どうしてシルバさんには叫ぶことができないんだ!シルバさんの言葉は弱く脆く、崩れ落ちて消えていくばかりじゃないか!」


自分とウィンはフリスを凝視した。


反面、ヘルは楽しそうに笑った。


”ひょっひょっひょ。お前さん、シルバと同じことを言っているじゃないか。気に入った。若い女とお前さんを生け贄にするとしよう”


その言葉にフリスの体がこわばった。


まだ恐怖には慣れていないっていうことか。


だけど……。


少しだけ気に入った。


「ちょっと待て」


自分が声をあげると、皆がこちらをみた。


ヘルが楽しげに声を弾ませる。


”おお。来る気になったのか?そうだな。無条件というのもダメだな。シルバがこちらに来るとなれば、条件をだそう。そやつらを殺さずにいるというのでどうだ?”


自分の耳がピクリと動いた。


自分がいけばこいつらは助かる。


ならば、自分が今することは……。


「行こう」


それだけだ。


”ひょっひょっひょっひょ”


オオリは高く笑った。


それと同時に自分がいた場所だけが赤く光った。