太陽の竜と闇の青年

「「どうして俺には前をみることさえできないんだ!どうして俺には手を伸ばすことさえ出来ないんだ!どうして俺には叫ぶことができないんだ!俺の言葉は弱く脆く、崩れ落ちて消えていくばかりで……。俺に残されたのは罪と後悔だけだった!」」


自分の言った言葉が信じられなかった。


初めてヘルに反抗した。


ヘルも女も驚いていたけど自分が一番驚いていた。


自分はこんなにも喋れる奴だったのか?


その時心臓が掴まれたように痛んだ。


やはりヘルのまじないから逃げることはできなかったのか。


ヘルに殺されるくらいなら……。


自分で死んだほうがマシだ。


身の丈ほどもある剣を自分に向けた。


そのとき勢いよくテントが開いた。


太陽の光が俺を照らす。


まぶしさで目をすがめた瞬間、手から自分の剣が奪われた。


奪った相手をみるとあの女だった。


自分を動かした女。


だけど自分が知っている女ではなかった。


「驚いた?私、竜の民で刻破りが使えるの。だからこんな刺青があるの。フウ……私の弟だって一緒」


隣にいた男が自分を睨んだ。


「…………」


そのとき、自分は小さな体にドンッと押された。


そして胸元がはだけられた。


「!!!」


皆が驚きの顔になる。


自分はその顔を何度も見てきていた。


驚きと恐怖の目。


それは自分の一番嫌いな目だった。


自分は思わず女たちから目を逸らした。


「シルバさん、ペダラのまじないをかけられたの?」


自分の上に乗っている女みたいな顔をした男が聞いてきた。


自分は答えない。


答える必要がない。


たとえ答えたとしても、こいつらにできることは何もないから。


ヘルには勝つことはできない。


絶対に。


自分の胸には刻印が掘られてあった。