太陽の竜と闇の青年


「翡翠の事件ってどんなやつ?」


すると、ラカではなく、サクラがごほん、と咳払いをして話始めた。


「風国、蒼国、安国、和国、と、この世界は4つに分かれています。それは、地理でもお勉強いたしましたよね?はい、よろしい返事です。この4つの国には、4つの四大翡翠とも呼ばれている翡翠があるのです。その翡翠は、翡翠の中に、絵が描かれてあるんです」


もしかして……。


みんなの目線が私の首にかけている翡翠に向いた。


「これ、おじさんが作ったって言ってたけど……」


私が翡翠を撫でながら言うと、サクラが続けた。


「えぇ。あの叔父様は天才職人だと思います。翡翠の中に絵を描くという才能はなかなか身につけれないものですからね」


すると、今度はフウが口を開いた。


「じゃぁ、おじさんはもう二度とこの朱雀の翡翠を作れないってことー?」


「はい。レプリカは作れると思いますが、同じ物は一つも作れません。それに姫様の翡翠は、朱雀の絵が描かれてありますね。その中心に小さな金粒が埋まっていますから本物でしょう。よっぽど、目利きがいたのがうれしかったんでしょう」


フウが私をつついた。


「ラッキーだったじゃん」


私は意地悪く笑って言った。


「うらやましい?」


「別に。僕、そんな女もんいらないから」


まったく素直じゃないんだから。