太陽の竜と闇の青年

「あー!!邪魔くさい!!」


私は、ターバンを直しながら言った。


「仕方ないじゃん。ルウと僕の髪はここでは見られちゃまずいもんなんだからさー」


フウが微笑しながら言ってきた。


私はターバンから少しだけはみ出している白銀の髪を見ながら言った。


「ねぇ、何でここでは白銀の髪はダメなの?」


ラカとサクラが困ったような顔になった。


「それが、誰も教えてくれないんです……」


「「はぁ!?」」


私とフウの声が重なった。


フウがラカのシャツの襟首をつかみながら言った。


「そ、それどういう意味だよ!」


サクラがそんなフウをなだめるように言った。


「今の段階では、誰も教えてくれないだけであって……、もしかしたら他のところでは教えてくれるかもしれませんよ」


少し落ち着いたフウを見ながら、私は小さくつぶやいた。


「私たちだって言えない秘密がある。それは、蒼国も一緒なのかもしれないね」


フウは珍しく真顔になって小さく、あぁ、と返事を返した。


「それで、ラカはずっとどこに行ってたの?」


ラカはニッコリと笑っていった。


「姫様の尾行が終わった後は、事件の匂いを嗅いで、ちょっと冒険に行っていたんですよ」


冒険という言葉に耳がピクリと反応した。


昔から楽しそうなことがあると、どうしても反応しないわけにはいかなかった。


「どんな事件?」


私が、興味津々で聞くと、ラカが笑いながら言った。


「翡翠の事件ですよ」


翡翠……。


そう聞いたとき、自然と手が自分の首に下がっている朱雀の翡翠に向いていた。