太陽の竜と闇の青年

「やっば!!忘れてた!」


僕とルウは同時に立ち上がった。


「ごめん。リクとジン。私たちあの森の中に行かないといけないんだよね」


するとリクさんとジンは僕たちの顔を見ながら言った。


「俺らもちょうど見に行くところだ」


「偶然に偶然が重なりますね」


結局、僕たちは一緒に悲鳴が聞こえたところまで行くことになった。


ただ、違うところと言えば、僕とルウは走っているけど、リクさんとジンは馬で走っていることだけかな。


「お前ら足速いな」


リクさんが感心しながら僕たちに言った。


「えぇ。まぁ、僕は男なんで、ラカ……侍従に教えて貰っていただけなんだけど……。ルウは僕のまねをしちゃいだして男の子っぽくなっちゃったんだよねー」


するとルウが口をとがらせて言った。


「だってフウだけっていうのが気に入らなかったんだもん」


昔、ルウは僕だけ習い事をするのが嫌だったのか一緒に稽古を積むようになった。


それから僕は男だからすぐに強くなったけど、ルウは女だからなかなか強くならなかった。


だからルウはこっそり夜中に一人で素振りをしたり、走っていたりした。


僕はそれに気づいていたけど、僕も一緒にやったら絶対にルウに怒られると思ったからやめておいた。


それからルウは僕と同じぐらい強くなったけど、練習量がルウのほうがどうしても多くなる。
僕は一度そのことをルウに言ったら、ルウは笑顔で、


「これは私が決めたことだから、フウは気にしないでよ」


と言った。


だからもうそのことは気にしないことにした。


「それで?リクさんとジンさんはこの先に何があると予想しますか?」


僕は二人をチラッと見て訪ねた。


「……盗賊だと俺は思うんだが……」


リクさんは顎をさすりながらつぶやく。


するとルウが細い人差し指を立てていった。


「それも一理あるけど、もう一つの考え方もあるよ」


僕たちは首をかしげた。


……もう一つの考え方なんかあるか?


「例えば、叫び声をあげたお姉さんと盗賊はグルと考えるの。それでお姉さんがわざとに叫び声をあげて私たちみたいな人たちが助けにくるのを待つ。待っていたところに勇敢な戦士が来たのをいいことに、一斉に拉致してお金だけ盗んでいく。あ、あと金目のものもね。だってさ、ふつうの民族の人だったら怖くて絶対にこんなところ来れないでしょ?でもでも、勇敢な戦士は自分の腕に自信があるからここに来る。つまり、何回もいろんな盗賊と戦ってかなりの報酬をもらっているってこともありうるんじゃないかな?」


僕は、小さく唸りながら言った。


「……ルウは、昔から勘だけは鋭いからなー」