太陽の竜と闇の青年

さっきまで、綺麗でまん丸だった月が狼の牙のような月に変わった。


たったの、数秒で。


「人の人生も、こうやってあっさりと変わるんだね」


私は高台に座ってつぶやいた。


足をブラブラと動かす。


唐突につきつけられた死を待ちかまえる言葉。


これから本気で生きていくということが今だに信じられなかった。


昔はそう、いつ生きていられるか分からなかった。


だから明日死ぬことも覚悟していた。


だけど死ななかった。


いや、もしかしたら死ねなかったのかもしれない。


毎日が地獄だった日々。


王族はあんなにもヒドいことをするんだ、と毎日思っていた日々。


だけど、まさか自分が王族になるとは思ってもしていなかった。


あの森小屋でずっと暮らしていくんだと思った。


だから、王族になった時、心の底から誓った。


あんなこと絶対にさせない世界を作ってみせる、と。


だけど、それは願うだけで叶えることはできない。


「こんな刺青がなかったら……」


刺青ができなかったら……。


刺青がなかったら叶えられた夢なのかもしれない。


ふいに刺青に苛つきが移った。


無意識に双剣の片方を取り出した。


自分の体に、刺青に刺そうとした。


けど……。