太陽の竜と闇の青年

すると、ルウがいきなり立ち上がった。


あげた服がバサッと下りる。


「ごめん……。ちょっと、散歩行ってくる……」


俯いて俺たちの横を素早く走って行った。


「おい、追いかけなくてもいいのかよ……」


故が不安そうな顔で俺をみた。


と、その瞬間、


「あらあら……」


という声が林の中から聞こえた。


「シャンリンですか……」


フウが深くため息をついた。


シャンリンの顔が真剣なものに変わる。


「先ほどのことで昔、フウ坊ちゃんに言われたことを思い出しましたよ」


フウが眉をしかめた。


「あぁ。アレですか」


アレ……?


俺たちが首を傾げると、シャンリンが扇子をパチッと閉じた。


「昔、フウ坊ちゃんがとっても王族を嫌っていた頃のことですかね。わたしたちにも嫌いといってきたときに、わたしが何故?と、問うと、フウ坊ちゃんは[愛だけに抱かれ育った少年と少女は痛みと憎しみだけを抱いて今を生きる。いっそ死んだら楽だなんて酔った譫言繰り返して一生掴めない希望に追いすがる。そんな負け犬のように未来を見るならどうにでもするがいい。負け犬は負け犬らしくしてやろうじゃないか]って言ったんですよ。フウ坊ちゃんはルウお嬢様があんな感じだから、自分がしっかりしないと、と思われたんでしょうねぇ。昔は本当に皆に牙を剥いていましたからねぇ」


今のフウとはまったく想像がつかないフウがいる。


フウはいつも笑っているのに…………。


昔はそんなに怖かったのか……。


フウがニヤリと笑った。


「今でも牙は剥いてますよ。王族にね」


シャンリンがほほほ、と言って何故か俺の背中を押した。


「さっさといきな。ルウお嬢様なら高台にいると思うよ」


小声でそう言ってきた。


俺はシャンリンに小さくお辞儀をして走った。