太陽の竜と闇の青年

「双子か……。珍しいな。俺はリクだ」


うん。


これでつじつまが合った。


「そちらのかたは?」


僕はリクさんの隣にいる男性(僕が下敷きにしちゃった人)を指さしながら聞いた。


「あ、わ、わたくしは、ジンと申します」


僕はその二人を穏やかに見つめた。


ところで、とリクさんが口を開けた。


「ずっと疑問に思っていたことなんだがルウは男なのか?」


その言葉を聞いて僕は吹き出してしまった。


「ぶふっ!!」


それから我慢ができず、お腹が痛くなるぐらい笑う。


ルウが僕をにらんでいるのが分かった。


「フウ!笑わないでよ!!」


だけど、僕の笑いの壷はおさまらない。


や、やばい……。


笑える。


「あ、あのですね、フウさん、何がそんなに面白かったんですか?」


やっと笑いのおさまった僕にジンさんが声をかけた。


「いやいや、すみませんね。ルウは正真正銘の女ですよ」


二人は同時にルウをみた。


「やはりな、線が細いと思った」


「えぇ。アクセサリーなど、女の子がつけるものですしね」


僕はまた笑いだしてしまった。


「フ、フウ!笑わないでってば!!」


すると、リクが眉をひそめて言った。


「ではなぜルウは男装しているんだ?」


すると、ルウは微笑しながら言った。


「だって女性の服は動きにくいし、飛び降りたりとかできないし、遊ぶこともできないもん。それに昔からこんな服を着ていたからこっちのほうが慣れてるんだよね。父には女性の服を着ろって言われてるけど、絶対に嫌だね」


すると、今度はジンが気づいたことがあった。


「その言葉遣いもですか?」


ルウはこくんとうなずいて言った。


「うん。敬語とかなんかさ、親近感湧かないじゃん。だから私はあまり敬語は使わないの。あ、でも、きちんとした行事とかパーティーに呼ばれたときはきちんとするけどね」


僕も疑問に思っていたことを口にする。


「そういえばさ、ルウは化粧とかそんなのに興味ないわけー?ルウっていっつも素顔じゃん。まぁ、別に僕は気にしてないし、ルウが化粧したら逆に気持ち悪くなるだけだと思うけどねー」


あははははと乾いた笑いをしてみせると、ルウに後頭部を叩かれた。


「フウは一言多いんだよ。化粧はベタベタするから嫌いだし、取るのも大変そうだからやらない。めんどくさいじゃん」


すると、リクさんが笑った。


「女にしては珍しいヤツだな」


僕はルウを見ながら言った。


「女にしては珍しいってさー」


ルウは苦笑いしながら言った。


「聞き慣れた言葉だよ」


そのとき、さっき聞こえた叫び声が聞こえた。