太陽の竜と闇の青年

[壱]


「ここだ」


白虎が走りながら俺たちに言ってくれた場所は…………。


「あ?試合上?」


故が不機嫌な声をだした。


「あぁ。必ずここにいる」


すると、朱雀が高く高く飛んだかと思うと急降下してきた。


「かなり緊急事態です。ルウが試合に巻き込まれています。本人はかなり顔をしかめておりました」


フウとサクラさん、ラカが舌打ちをした。


まさかサクラさんまで舌打ちをするとは思わなかったから俺は驚いて後ろを振り返った。


しかし、サクラさんは何事もなかったかのように微笑んでいる。


げ、幻聴か?


「あの馬鹿皇子め。ルウを巻き込むなんざぁ、いい度胸してるじゃないか」


フウがバキバキッと指の骨をならした。


それをみた朱雀が遠慮がちに俺たちに言う。


「それが……。あの皇子の他に、もう一人そっくりな皇子がいるんです……」


三人の顔色が蒼白なものに変わった。


「まさか……。ナラクか!?」


「ナラクしかありえませんね。帰ってきたのですか」


「最悪な事態ですね。考えるのは後にして、早く乗り込みましょう!」


サクラがビシッと試合上を指さした。


それをみた白虎がフッと顔を振って走り出した。


「どうやって入るんだ?」


俺が白虎の隣に陽をよせて訪ねると、白虎は低い声で言った。


「強引に入り込む。あそこを飛び越えて入るのだ」


白虎が顔を向けた場所は、他よりも低い塀だった。


「白虎はともかく、コイツらがあそこを飛べるとは思えない」


俺が率直にいうと、白虎は俺を睨んでうなった。


「馬の跳躍力をなめるな」


そうこうしている内に、塀の上までやってきてしまった。


まさか……。


本当に飛ぶというのか……。


俺が困っていると、白虎が飛んだと同時に陽も飛んだ。


「嘘だろ!?」


フウの顔が驚愕のものにかわった。


そして、俺たちが降り立ったのは観客席のちょうど階段の部分だった。


「キャァーーー!!」


という観客たちの声が聞こえる。


だが、そんなことよりも俺は試合上に立っているルウの姿が目に入った。


俺たちをみつけてニッコリと安心したように微笑む。