太陽の竜と闇の青年

「ほぉ……」


ジンが感嘆の声をあげた。


この男……体は細いがかなりの訓練をしている。


あの細い体のどこにあんな蹴り技の力があるのか、俺は不思議でならなかった。


それにこの男、かなり正義感が強いのか手出しをしなかった巡回にかなり苛立っている気がした。


「おい、お前」


俺は男の名前を知りたくて、声をかけた。


振り向いた男は笑っていた。


確かに爺が言ったとおり、顔は女らしい。と、いうか、女だろっていう感じの顔立ちで、凛々しい顔をしている。


「何ですか?」


声も先ほど聞いたものよりも、少し高い。


……女か?


だけど、女が男装するはずがない。


「ルウです」


名前を聞いた時、なーんか、聞いたことがあるようなないような感じだった。


ルウが茶屋に入ったのを見届けるとジンが言った。


「……坊ちゃん。あの子、女の子じゃないですか?」


俺も小さくうなずいて言った。


「あぁ。だけど、翡翠の爺も男だって言ってるし、服装も男装だ」


ジンはうぅーん……、と唸った。


「わかりませんねぇ」


俺たちの間ではルウは不思議な人物になっていた。