太陽の竜と闇の青年

[壱]


強い風が吹いたと同時に翡翠の中から朱雀と玄武、白虎が動物となって現れた。


突然のことすぎて呆然としている俺たちを横目に、朱雀が高らかに鳴いた。


「今すぐに幡国に向かいましょう」


朱雀は動物なのに話せていた。


けど、今はそんなことどうでもいい。


「何でルウがいないのに出てこれたの!?」


フウが椅子をガタンッと鳴らして立ち上がった。


「今はそのようなことを言っている場合ではありません。すぐに幡国に行くのです」


大蛇が舌をペロペロと出した。


玄武の声はまじめなもので、有無を言わせないようだった。


俺たちはただならぬ気配を感じていそいで厩に向かって自分の馬に跨った。


ハヤトが高らかに鳴いた。


ルウがいない今、ハヤトをつれていくことは出来ない。


俺が少し困っていると、白虎がハヤトの元へ行き、鋭い牙で繋げていた紐を食いちぎった。


「おい、いいのか」


俺が思わず白虎に声をかけると、人間のときよりも低く、唸るような声が返ってきた。


「かまわない。コイツは逃げるような真似はしない」


白虎の言うとおり、ハヤトは紐がはずれたというのにそこから一歩も動かずに、俺たちが動くのを待っていた。


「頭のいい奴だ」


白虎はそういうとぐるるると唸り、厩から颯爽と出ていった。


その速さは尋常じゃなく速い。


しかし、白虎は幡国のほうではなく海へと走っていった。