太陽の竜と闇の青年

「おやおや、あれは目利きの坊ちゃんじゃないか!」


翡翠屋の爺が商店街のど真ん中で争っていた男二人の間合いに入ったヤツを見て言った。


「目利きの坊ちゃん?」


俺は、眉をひそめて爺に訪ねた。


「あぁ。ここにくる途中にちょっと助けてもらったんだ。男の子の身なりをしているけど、可愛らしい顔でよ。すごくいい目利きなんだ。一発で俺が翡翠の商人ってことを見破ったんだ。へぇ……。喧嘩も強いんだなぁ」


俺は爺を横目に見ながら馬にまたがった。


「ったく、俺たちの巡回のヤツらはなに腰を引かしてやがるんだ。おい、ジン!行くぞ!」


ジンも急いで馬に乗り目利きの坊ちゃんとやらのところに行った。


遠くから見た限り、女のように見えたが……やはり男装しているってことは男なのか……。


「翡翠の店主は男だと言っていましたが、少し線が細いですよね?」


ジンも気づいたのか、そう言った。


「あぁ。男にしては細いし、ブレスレットも女物のように見えるんだ」


不審点はかなりあるが女はあんな風に戦うものなんだろうか。


少なくとも俺の国ではそんな女はいないと思う。


「貴様等、喧嘩するならこんな商店街じゃなくて、草原にでも出てやれ!!罪のない人たちを巻き込むな!!」


威勢のいい声が聞こえた。


「おぉ!カッコイイですね」


ジンが笑って言った。


俺たちが三人に近づいて行くと、細い男はこちらを笑顔で振り返った。


ふつう、この状況で笑うか……?


俺が親玉のことを説明すると男二人は怒って、


「チッ!ふざけんなぁ!!俺たちの計画は完璧だったんだよ!!……そうか、このガキが邪魔したのか……」


と、細い男に八つ当たりした。


うん。まさに八つ当たりって感じだ。


男は少し困った顔をしつつも笑っていた。


そして身軽な動きで一人の男のみぞおちを蹴り、なんとも見事な早さで剣を握り、もう一人の男の眉間を狙った。