太陽の竜と闇の青年

私はまず、髭の生えた男のみぞおちを蹴った。


メリッという音がして、


「ぐふっ!」


という男の声がする。


そして、素早く顔に傷がついている男の眉間に短剣を突きつける。


「それ以上動いたら、これがどうなるかわかるよね?」


笑いながら聞くと、ガクガクと男の足が少し震えているのを見た。


情けないヤツらだ。


「さて、そこのなんの役にも立たなかった巡回さんたち、この人たちを連れていってください」


見学していた巡回が慌てて男たちを捕らえた。


用がすんだな、と思って茶屋に向かおうとしていたとき、あの男に声をかけられた。


「おい、お前」


私は、ちょっとだけ笑いながら振り向いた。


「何ですか?」


男は、馬から降りてこちらに向かってきた。


「俺はリクと言う。今回の件、助かった。お前の名前はなんだ?」


私は、微笑しながら言った。


「ルウです」


すると、リクの隣にいた男性が驚いたような顔をして言った。


「へぇ!!男の子なのに、女の子らしい名前なんだね!それに声も少し高いし、顔も可愛らしい。でも、すごく強かったよね。いやぁ、動きが鋭いし、素早いからわたしでも見て追いつくのが大変でしたよ!」


私は、少し困りながらも笑って言った。


「あの、今からおつかいの用事なんで……。このへんでいいですか?」


すると、リクがうなずいて言った。


「あぁ。呼び止めてすまなかったな」


私は、双剣をしまって今度こそ茶屋に向かって少し足早に歩きだした。