太陽の竜と闇の青年

「ラカまでそんなこと言うの?僕は絶対に嫌だからねー」


そんな話を後ろで聞いていると、壱が陽をハヤトの隣によせてきた。


「俺は詳しく安国のことは知らないんだが……」


私が驚いて壱を見ると、壱は眉をひそめた。


「何だ?」


「いや、壱って結構物知りだったから安国のことも詳しく知っているのかなぁ?って思ってたけど……。知らないこともあるんだねぇ」


壱は心外だ、とでも言う風な顔をした。


「俺はそんな印象を持たれていたのか」


私は微笑した。


「なんか、雰囲気がそんな感じだったから」


壱は首をコキコキとならせた。


「どちらでもいいがな」


「安国は私もよく知らないんだよね。あんまり行ったことがないから。でもフウから少しは聞いてるよ。確か、家の造りは蒼国と一緒で、服装は紳士的な感じの服なんだってさ。で、そこの安国の第三王女がフリス=エリィで、フウの許嫁だよ」


その話を聞いていたのか、前にいたサクラが振り返った。


「確かフリス王族には、第三王女の下に、もう一人弟がいるという噂も聞きましたよ」


フウたちの前にいたリクも振り返った。


「あぁ。俺も噂で聞いたことがある。だが、なぜかは知らないが公の場には出ていない。だから、俺も弟の顔をみたことは一度もないな」


すると、意外そうな顔をしてジンも言った。


「坊ちゃんもですか?てっきり坊ちゃんは知っているのかと思っていました」


も、ということはジンも知らないということかぁ。


「何か裏にありそうだね」


私が小声で壱に言うと、壱もうなずいた。


「あぁ」