「[神の民]は滅ぶことはなかった。だから今も神が存在している。そしてある時、シャジータは自分自身を人へと変えた。それに続くようにファリャーノも人となって地へ降りた。そこで二人は偶然にも出会った。だが、二人とも名前を偽っていたから、シャジータだと分からなかったし、ファリャーノだとも分からなかった。そうして二人は恋を実らせ子供が出来た。だが、その子供の目は赤色だった。赤色の目の人を何と呼ぶか知っているか?[ミラダージュ]。[運命の戦争]という意味だ。それから、シャジータとファリャーノを纏わる二人が婚約すると赤目の子ができると昔から言われていた。だから俺と牙城の目は赤色なんだ。だが、運命はそれだけでは終わらせてくれなかった。俺たちには不思議な能力がある」
シーンと静まり返った宿屋は少し寒気がするようだった。
そのとき体全身が震える覚えを感じた。
椅子に座っているのに足腰が震えている。
フウも故も同じ姿だった。
壱を見ると表情一つ変えずに涼しい顔で座っている。
と、思ったら、スッと手を上げた。
「殺気だ」
途端に体が軽くなる。
これが、殺気……。
「ラカに教えてもらったことがある。本当の殺気は滅多に持つことの出来ない、神に選ばれし者がもてる能力だ、って。僕たちの[刻破り]の力と同じぐらいすごい能力らしいよ」
まだ指が痙攣していた。
「殺気は人を圧迫させる力がある。下手すると失神させてしまう。だからあまり使ってはいけない能力だ。先ほどは加減をしたが、牙城には殺気を操ることはまだ出来ない。だから俺が牙城の傍にいてそれを管理していた。だからお前たちが王宮に来たときも俺がついていた。それで……本題だが、お前たちはこんな危険な道具を傍に置いておける自信があるか?」
フウと故の顔が私に向けられる。
結果はルウで決めなよ、って言ってるみたいに。
私はふぅ、と小さくため息をついて、ガタンッと立ち上がった。
それから壱の元へ歩み寄って、ギュッと軽く頬をつねった。
壱は驚いた顔をしていた。
シーンと静まり返った宿屋は少し寒気がするようだった。
そのとき体全身が震える覚えを感じた。
椅子に座っているのに足腰が震えている。
フウも故も同じ姿だった。
壱を見ると表情一つ変えずに涼しい顔で座っている。
と、思ったら、スッと手を上げた。
「殺気だ」
途端に体が軽くなる。
これが、殺気……。
「ラカに教えてもらったことがある。本当の殺気は滅多に持つことの出来ない、神に選ばれし者がもてる能力だ、って。僕たちの[刻破り]の力と同じぐらいすごい能力らしいよ」
まだ指が痙攣していた。
「殺気は人を圧迫させる力がある。下手すると失神させてしまう。だからあまり使ってはいけない能力だ。先ほどは加減をしたが、牙城には殺気を操ることはまだ出来ない。だから俺が牙城の傍にいてそれを管理していた。だからお前たちが王宮に来たときも俺がついていた。それで……本題だが、お前たちはこんな危険な道具を傍に置いておける自信があるか?」
フウと故の顔が私に向けられる。
結果はルウで決めなよ、って言ってるみたいに。
私はふぅ、と小さくため息をついて、ガタンッと立ち上がった。
それから壱の元へ歩み寄って、ギュッと軽く頬をつねった。
壱は驚いた顔をしていた。

